素人がよくもここまでやってしまうものだなあと、感心しながら読みすすんだ。掲載されているセルフビルドされた30軒の家々はそれぞれ特徴があり、作者の好みや性格が反映しているようで実に楽しい。特に私の興味を引いたのは、著者の一人でもある矢津田氏のページだ。ふつう、この手の本だとセルフビルドされた家に注目するものだが、私は氏の家づくりについての考えに魅了されてしまった。『旅するように暮らす』『移動するように定住する』、はじめて触れた考えだった。氏は、旅を新しいものとの出会いと位置づけ、家づくりをもそう考える。定住することによる停滞を嫌い、つくりつづけることによって、新たな空間と出会うのだ。よい本と出会えたと思う、ちょっと自分の生活を見直す、いい機会をあたえてくれた気がする。