7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
沸々とこみ上げる怒りと情熱。いろんな意味で魅力的な映画・演技。, 2010/7/7
レビュー対象商品: セルピコ [DVD] (DVD)
ただ、警察の仕事がしたいだけなのに。どこへ言っても疎外される(というか、まともな人がいない)。
見ているうちに、「なぜ警官になったんだろう?」と疑問に。
と思うと同時に、セルピコが恋人に、警官になった理由を語った。
そのタイミングがあまりにもピッタリで(個人的意見)。
セルピコの純粋さ、人の良さに、とても惹かれた。
私は女性だからか、恋人目線で見る部分も多々あった。
2人目の恋人との言い争いも、共感する。
セルピコは、警察の不正と上層部の対応に苛立ち、自分の身の危険を恐れる。
対して、恋人は、まるで見当違いな返答をする。結婚して子供がほしいと言い出す。
二人の考えの方向性はまったく交わらない。
幸せの優先順位が違うのだ。
男女の考え方の違いがよく表れている。
本題もよかったけど、そんな点も、とてもよく表現されていた。
汚いことに関わりたくないなら逃げ出したらいい とすぐ諦めてしまったり、
目をそらして、朱に交わって長いものに巻かれて暮らす…(ゾンビに思える)
そんなことは、普通に仕事をしていてもよくある。
立ち向かうなんて、とてもできない。
でも、、、やっぱり、立ち向かわないと、どこに行っても変わらない。
自分の生き方も考えさせられた。
自分はゾンビにはなりたくない。
セルピコの温かい人柄のシーンが好き。
子犬を買うところや、貯まった仕送りを母から返されて「母さんの金だ」というところや、
警官になりたいと思ったいきさつを語るところや、パーティーで踊ったり人と話したりするとこや、
二人目の恋人との出会いのシーン(犬に「いい人だな」と言う)や、
居心地のよさげなインテリアや私服、コーヒーをいれて庭で食事したり。
シリアスなストーリーながら、ちょいちょい、温かい、センスのいい、ユーモアのある場面・演技が、とても魅力。
見所が多い。
16 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
組織社会で自分らしく生きることの難しさ。, 2005/3/20
レビュー対象商品: セルピコ [DVD] (DVD)
アル・パチーノ初期の代表作のひとつで大好きな映画です。警察学校を出て配属されるとき、誰しも正義感をもって赴任すはずなのに、現実には、現実の暗黙のルールに支配され、巻き込まれ、薄汚れていく。これはなにも警察に限ったことではないでしょう。セルピコは頑として受け付けない。服装も当時としては型破りで、組織に馴染まない。仲間ではないと見なされてからは、孤独感、恐怖に苛まれる。それでも彼は自分を貫こうとする、自分らしく生きようとする。銃社会アメリカだけに、恐ろしさは尋常ではないでしょう。恋愛もうまくいかない。それでも自分をまげない。彼は人並みはずれて強い精神の持ち主ではありません。こんな使命感と不安な日々を送るセルピコをアル・パチーノが迫真の演技で演じてます。派手なアクションがあるでなく心理劇的にドラマは展開して行きます。暗い結末を予感します。結果、彼は栄誉は受けるが、瀕死の重傷をおい、組織からも離れ、遠く異国で残りの生涯を生きる事になってしまう。事実関係はすべて実話に基づいており、その後の彼の人生に思いをはせると、この世で生きることの難しさを感じます。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「理想と現実」の狭間でもがく男の姿, 2010/3/14
レビュー対象商品: セルピコ [DVD] (DVD)
アル・パチーノが演じたフランク・セルピコは実在する人物で、警察の職を辞めてからは静かにスイスで余生を送っているらしい。彼は現役警官の腐敗に対して、孤独な戦いを挑んだ有名な人物である。
いつの時代も秩序は揺らぎやすい。人は善悪を兼ね備えた存在であるから、しっかりとした教育を受けたり、もしくは強い信念を持っていないと悪い方向へと落ちて行きやすいのだ。ましてや、周囲の人間がみな悪事に手を染めていたならばどうだろう。おそらく、ほとんどの人間が惰性に身を任すに違いない。
セルピコは尋常な人間ではなかった。秩序を保つための組織である警察自体が汚職に塗れている現状に、孤軍奮闘、己の正義だけを頼りに立ち向かった。同僚からは脅され、警察の上層部からは相手にされない。「身内の敵ほど恐ろしいものはない」私は、改めてそう思った。
映画の冒頭でセルピコが撃たれることがわかるので、作品の展開は彼がなぜ撃たれたのかを辿っていくことになる。本当に優れた作品は、結末がわかっていてもドキドキ、ハラハラさせられるものだが、ストーリーが進むにつれて頼りなくなっていくセルピコの組織内での立場を観ると、胸をしめつけられる思いがした。秩序の腐敗自体は避けられないことだとわかっていても、繰り返される人間の行動パターンには、不甲斐ない気持ちさえ覚えた。
「ゴッド・ファーザー」シリーズとは一味違ったアル・パチーノの演技(変装!?)も見ごたえ十分である。古さと新しさを堪能できる作品です。