映画のレヴューを見て、思っていた以上に、レオーネファンが多いことを知りました。「夕陽のギャングたち」「ウェスタン」などに多くのオマージュが捧げられているのだから、本書を読む人が、多くても良いかもしれない。まあ、映画の本とは、「美学」と同様、作品を見てしまえば、あんまり要らないのだが、それにしても、この寡作で、名作揃いの監督をちょっと覗ってこうと思う向きは少なくないと思う。「ベン・ハー」の助監督時代の話から、諸作品の細かな裏話を通して、人物像が浮かび上がる。寡作で名作、とは、まさに、繊細すぎる神経とどこか世慣れない頼りの無さがあるはずで、そういう脆くも崩れやすい性格は、まさに、「暴力」と「意識の高揚」を美しすぎるメロディーと共にあぶない寸前まで高めていくたぐい稀な作品と見合っているようだ。それにしても、「夕陽のガンマン」であんなに素敵だったリーヴァン・クリーフが、2作目では、若干「まんまるく」なって鋭い凄みが減退したと思っていたが、本書によると、食えない「画家」だった時代が1作目で、それが当たって「キャデラック」に乗って来たのが2作目だったそうだ。個人の幸福と作品の出来栄えが相反するところに芸術の辛さがあるなあ。