セルラーオートマタ、格子気体、格子ボルツマンについて歴史から最先端の応用まで、幅広くトピックを網羅していて面白い。読者の興味を引くことに心を砕いていて、著者のこの分野に対する熱意が伝わってくる。歴史はこの手の本としては詳しく、読むべき重要な文献等は、この一冊でほとんど分かる。微分方程式を差分化等によって数値的に解く従来の方法と違った、微視領域(若しくは仮想粒子)の周辺との相互作用を離散的にモデル化して自己組織化を再現する方法の強みや可能性について語られている。技術的情報は読者が実際にこの手法を使って独自のシミュレーションを行うには不充分で、特にシミュレーションと物理現象が定量的にどう関連するかの解析についての説明が、この手法の弱点であるでけに、満足!いくものではない。 しかしながら、道標としての役割を充分に果たす良書。