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セリーヌの作品〈第2巻〉なしくずしの死  上巻
 
 

セリーヌの作品〈第2巻〉なしくずしの死 上巻 [単行本]

L=F・セリーヌ , 高坂 和彦
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 単行本: 305ページ
  • 出版社: 国書刊行会; 第2版 (1978/06)
  • ISBN-10: 433602670X
  • ISBN-13: 978-4336026705
  • 発売日: 1978/06
  • 商品の寸法: 22.6 x 15.6 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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31 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
なしくずし 2002/5/31
形式:文庫
学は有るが不器用で物事が上手くいかない父、”生きること”は働くことであるというべき働き者の母、ボロボロの貸家を二軒(ろくに家賃を払わない店子が住む)持っている優しい祖母。小路にある、決して裕福ではない其の家に「ぼく」ことフェルディナンは育つ。あまりにも、あまりにも理不尽な出来事の所為で、悪魔の子、不幸の元凶だと父に叱責されながら。いつしかそんな環境がフェルディナンを自暴自棄に、まさに父が懸念していたような青年に成長してゆく。彼ら一家は全員不器用なのだ...。やりきれなくなる。だが、それは全く弱々しく描かれてなどいない。非常に荒々しく、激しい文章で綴られている本書は帯にも有る様に、やはり怒号!!というに相応しいだろう。この文体には中毒を起こすような魅力がある。
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37 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
第二次世界大戦中の反ユダヤ主義言辞によって有罪判決を受け「呪われた作家」として生を終えたセリーヌの1936年に発表された第二長篇。前作の『夜の果てへの旅』(邦訳中公文庫)と比較すると伝記的な部分のリアリティーがよりいっそう複雑になっていて、狂騒的・妄想的な文体の過剰さからともすれば感じられるメルヘン風の枠組みが破壊されている傑作。

セリーヌの作品はフランス文学において大胆な口語表現の小説への導入が文体的に問題にされ正直言って初学者程度のフランス語能力の僕などには原書の過激さははとうてい理解不能なレヴェルにあるのだが、翻訳で水に薄めたような文章を読んでいると主題は「口語」なのではなくむしろ「書き言葉」というよりも《書くこと》そのものの痙攣的な営為にあると思える。貧民街で医師をする話者が執筆する『英雄伝』を同僚などに語りつつ、少年期を読者に語る入れ子構造(話者の名は作者と同じ「フェルディナン」という名前を持つ)を、しかしセリーヌはひたすら直線的に書いていく。それは、ボルヘスがもっとも複雑な迷宮とは直線であると言ったように、その直線性によってモニュメントとしての文学作品といった言葉思い起こさせさえするものだ。
呪詛と憤怒に彩られたセリーヌの作品は、しかし意外なまでに清浄な生の謳歌も感じられる。「文学はおとしまえをつけてくれる」と言い、「死か、嘘か」という絶望的な選択を提示しながら決して死には向かわないその強靭さが、セリーヌを盆百の「過激」で「アナーキー」な作家と隔絶する。

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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yureru
形式:文庫
驚くべきことは、これほどの呪いの言葉や、おそらく日本語訳の時点で
どうしようもなく補正されてしまった文体破壊(それを日本語で再現するのは、
きっと、想像だけども、翻訳を超えて、創作そのものになってしまうのでしょう)
など、裏切り嘘破滅貧乏死に彩られたこの小説のなかで、
主人公のフェルディナンが、徹頭徹尾、悪人ではないことだ。

家にいたときも、働きに出たときも、よその国でも、また別の働き先でも、田舎でも、
彼は悪人であったことは一度もなかった。

こんなに悲惨なストーリーで、主人公が正直者なのに、美談ではなく、
ドロドロの、それこそなしくずしの話なのが凄い。

正直者を美談とはしない、正直者が馬鹿を見る、といえば簡単過ぎるけれども、
そういう道徳の極端過ぎる炸裂だ。
んで、そういう道徳っていうかモラル・教訓を得るための物語かっていうと、
そんなしょうもないものではない。

なしくずしの死、っていうことは、死に至るまでのなしくずしになっていく生の
ことなんでしょうけど、まさにその体験だ、読書を通した
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