巻末文を読めば分かることですが、押井守氏が長編として映像化も視野に入れ、気合い十分に始めた企画だそうで、続いていれば深めていったであろう様々な伏線が散りばめられています。
これも巻末文からですが、毎回今敏氏と押井守氏による綿密な打ち合わせをしながら進めていたようです。二つの巨大な才能がぶつかってしまい続けていくことが出来なくなってしまったということでしょう。
稀に見る大作になったであろうこの作品が未完で、数々の謎も此方に委ねられているのは歯がゆい思いですが、それでも「押井守監督、今敏作画・演出」という奇跡の一端を見ることの出来る価値ある作品だと思います。
また「絵描き今敏」を一層感じられる作品でもあります。一枚絵としての巧さは勿論ながら、構図や動きの妙は流石です。
付録のインタビューも興味深いです。単なる才能あるアニメ映像作家としてだけではなく、これからのアニメに必要な存在だったことを改めて実感しました。
とにかくまずは、今まで日の目を見ることの無かったこの作品が手に取れる形になったことを大変嬉しく感じています。