格差問題を扱った書籍はたくさんあるが、経済的な側面だけでなく、ついに人間として根源的な欲求である「性」の世界にまで格差が及んできた、という、興味深い本。
取り上げられたテーマは非常に興味をそそられる。着眼点は素晴らしい。
しかし、あれもこれもと欲張って書いてあるため、各論の掘り下げが足りない気がする。総じて「AERA」よりは読みごたえはあるが、一冊の書籍としてまとめるには、ちょっと・・。というところ。
いくつか、もう少し突っ込んでほしい論点はあったのだが、表面的な記述で終わり、残念である。
たとえば、
「ワーキングプアは所得が低くて異性にもてずセックスレス、高所得層も仕事に追われてセックスレス」
「できちゃった婚によって格差が世代連鎖する」
「平均セックス回数が多いフランスでは出生率も回復、そこには事実婚カップルから生まれた子どもも積極的に支援する体制がある」
「今後日本では”血縁”によらない家族が生まれてくる可能性も」
これらは、それぞれが一冊の本にまとめられても良いくらいのテーマなのだが、本書ではさらりと触れられるだけで、どんどんと先へ進んでゆき、読み終わってから振り返ると消化不良の印象を感じる。
着眼点はとても良いので、著者には今後ともこの視点での調査研究、そして新著執筆を期待したい。