厚労省や地方自治体は、子育て支援策といえば、子供ができてからの支援、育児手当・教育費補助・託児施設の充実にばかり目が向いている。TVドラマの「婚カツ」のような集団合コンを企画する自治体はまだ少ない。少子化の原因が「作りたいのにできない」「結婚相手がいない」だったら上記の諸策も効果があるだろうが、現実は違う。現代の既婚者は、子供は作りたくないし、セックスもしたくないのだ。この事実を直視しないことが少子化対策の不毛の原因だと思う。
子供不要・セックス不要という問題に、本書は正面から応えようとしている。本書の仮説「めんどう」を省くことで利潤を得ている現代資本主義そのものが、子供とセックスを不要にしたという仮説には、説得力がある。ポルノ映像への窓口たるPCも、コミュニケーションで育児ストレスを含むあらゆるストレスを発散させる携帯電話も、NEC、ソニー、パナソニックといった大企業の有力商品である。子供とセックスを不要にしすればするほど利潤がでる社会経済構造。著者達は社会経済構造を変革せよという単純幼稚な主張はしない。彼らは「こうなっている」といって、そこで悩んでいる。
我々自身が我々の生活をどこまで変えられるか、環境問題と少子化問題は似ていると思った。本書の仮説をさらに検証する続編を期待する。