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セザンヌ物語―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)
 
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セザンヌ物語―吉田秀和コレクション (ちくま文庫) [文庫]

吉田 秀和
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

セザンヌはどこから出発して、どこに到達したのか―近代的美学の枠組みからはなれてなおその芸術から放射される“精神的な品位”に惹かれた著者の渾身の美術論。自然のすべて、人間精神の姿におよぶ宇宙を画布のなかに捉えつくすという高い志を持して生き、描いて描いて、ついに永遠を思うに至ったセザンヌの創造の極点に迫る。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

吉田 秀和
1913年9月23日、日本橋生れ。東京大学仏文科卒。現在、水戸芸術館館長。戦後、評論活動を始め『主題と変奏』(1953年)で指導的地位を確立。48年、井口基成、斎藤秀雄らと「子供のための音楽教室」を創設し、後の桐朋学園音楽科設立に参加。57年、「二十世紀音楽研究所」を設立。75年『吉田秀和全集』で大佛次郎賞、90年度朝日賞、『マネの肖像』で読売文学賞受賞。2006年、文化勲章受章。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 606ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2009/6/10)
  • ISBN-10: 4480425764
  • ISBN-13: 978-4480425768
  • 発売日: 2009/6/10
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
すばらしい絵画論です。日本の浮世絵を通した絵画の革新が流行していたパリで(つまり印象派)、流行から一歩引いて孤高のうちに西洋絵画の革新を模索していた「孤独な魂」(その名はセザンヌ)の奇跡。モノの輪郭ではなく中心の動きを、形よりも色彩を、と移行していったセザンヌの絵画を、まるで本人に聞いたみたいに、その核心ごとわしづかみ。「絵の専門家ではないので先行研究への目配りは手に負えない。自分の目で見ることに集中した」と言ってはいますが、外国語文献を自分で訳してしまう本職顔負けの博学ぶりです。文章もうまい。

遠近法、パースペクティヴ、シンメトリーといった西洋近代絵画の基本を完成させたうえで革新するセザンヌへの共感があふれています。異彩の画家の色使いに音楽の動きを聴く、音楽評論家ならではの文章表現に酔いましょう。必見!
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By スワン トップ500レビュアー
形式:文庫
いま、国立新美術館で「セザンヌ〜パリとプロヴァンス」と題する展覧会が開かれている(6月11日まで)。
なんとしても見たい催しなので、行く前に本書を手にとった。

著者・吉田氏の音楽評論はずいぶん愛読してきたが、絵画評論は初めてである。

著者はかつて『ベートーヴェン』(白水社版「吉田秀和全集」第1巻)の冒頭でこう書いた。
《ベートーヴェンという人は、よほど、頑固な人だったにちがいない。……一つのイデーを発見するや否や、彼は、それにしがみつき、それをあらゆる角度から眺め、あらゆる発展の可能性を展開してみせてからでないと、手放すということがない》(281ページ)

一見、本書とは無関係な引用をしたのは、セザンヌの絵について語る著者の筆づかいが、ベートーヴェンのこの作曲作法と瓜ふたつだからだ。

すなわち著者は、セザンヌの絵を一枚、一枚取り上げると、それをためつすがめつしながら、色彩や形、あるいは質感や構成……といったさまざまな面から分析し、それぞれの絵の<秘密>に迫っていくのである。

「庭師ヴァリエの肖像」については、こんなふうに書く。
《はじめて見た時、私は、レンブラントの宗教画を目の前にしたような、底知れぬ深さの神秘に打たれて、しばらくは言葉もなかった。しかしそのうち……何十本という線の存在が気になってきた。
 一体、この短い――文字通り、ぶっきらぼうにひかれたとさえ思われる――頭も尻尾もない棒たちは、何だ? どこから、何をしにやってきたのか?》(182〜3ページ)

「農家の内庭」からは声が聞こえてくると、著者は書く。
《その声は、私には「いつまでも、そうやって、外からのぞいていないで、中に入ってきたら、どうです?」というふうにきこえたのだった》(244ページ)

「キューピッドのある静物」では、一個だけ奥のほうに描かれた緑のりんごに注目する。
《ためしに、このりんごを指で隠してみる。それから、指をどけて、もとに戻してみる。何が違ってくるか?
 一つの球形の有無というだけでなく、このりんごの存在によって、画面に「動き」が生まれてくる、というのが私が驚きをもって、経験したことだった》(249ページ)

絵画について語る文章は、いったいに退屈になりがちだ。
ところが著者の筆は、上に見るように、じつに工夫が凝らされている。
だから、飽きることがない。

セザンヌの傑作を一点ずつ味わいながら、《どうして、セザンヌの絵には、堅牢で、犯しがたい品格があるのか》(14ページ)を教えてくれるのが本書の魅力となっている。

著者の結語はこうだ。
《セザンヌこそ、自然のすべて、自分の外のそればかりでなく、自分の内なる自然……を、画布という資格の平面の中に把えつくすという高い志を持して生き、ついに死んだ人だった》(579ページ)

収録された作品は、ほとんどがモノクロのため、セザンヌの画集を手もとに置きながら読み進められることをお奨めしたい。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
静物画について述べたところ、机が曲がって描かれているというのだが、「2つの机を合わせているのではない」という根拠がはっきりしない。論理性を欠く(または古くからの評論を信じてしまっている)と思われる。
クレーのピラミッドの絵と思っているのは山の絵だが(Niesenは吉田の推測のようなエジプトの川の名前でなくスイスの山)、まぁこれは編集者や読者から指摘があったはずでそれをあえて残しているのだろう。ただ読者には不親切。
油絵で白く残したところを不自然なように述べているが、吉田秀和は水彩画を描いたことが無いから水彩画の技法だということを知らないんじゃないか? 後で「セザンヌは油彩に水彩画の技法を取り入れた」という説を引用しているんだから註釈できたはずだが。(ただ水彩画にしても不自然に白く残されているようにも思うが・・・)
ジャドブッファンの家が傾いている理由が分かってないらしい。そんなに奇妙なことではなく、斜面にイーゼルを立てただけだろう。これも吉田が絵を描かないから分からないのだろうか。
ベルビューの家、細長く描かれていると述べているが、家を半分だけ描いているのにだまされているようだ。
実際は実物とさほど変わらない。写真と道の角度が違うのも単に場所の違いで説明できそうに思う。
バロック的なんてよけいな知識が多すぎるあたまでっかちだからそんな誤解もするのでは?
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