「今救えるのは、宇宙で私だけ」(1巻)、「意志でなく、才能が行く道を選ぶ。/そういうことがあると思うのよ」(2巻)。こんなほれぼれするようなキメゼリフと黒田独特の構図が、冴えまくる。登場人物のそばにぴたりとはりついて描いているかのような構図と思い切りひいて描いた構図が突然切り替わり、心地よいめまいをもたらしてくれる。
セリフまわしや「スパイもの」という設定のせいで、全体の印象はどこかクラシカル。だが、ニコのキャラクターやディテールの作りこみ、事件ごとの設定には、いまどきの風俗を巧みに取り入れており、そのバランスの取り方がなんともにくい。
黒田作品というと、玄人好みであるとか難解であるとか評されることもしばしばであったが、本作は誰が読んでもきっちりと楽しめるエンターテイメントとしても、極上の仕上がりになっている。(門倉紫麻)
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…というとあっさりしたかんじですが、ふるきよき時代の探偵もののような雰囲気と、今っぽい登場人物たちがあいまって、味わい深い作品です。
黒田作品にはすべて目を通していますが、主人公のキメの表情、画面構成からこれまでとはちょっと違った著者の目線を感じます。一話完結のドラマを意識しているような。美しいです。
ニコ、という名前の響きも、すがすがしいこの漫画にぴったりです。
リズミカルなストーリー展開と印象的なセリフの言葉遣いが
気持ちよく、マンガとしてのおもしろさが溢れています。
「茄子」の素朴なテイストもいいけれど、
黒田硫黄の魅力は、本作のようなダイナミックな
エンターテインメント性にこそあるのだと思います。
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