第1巻が決戦前夜で終わり、いよいよレーススタートと期待したが、物語は高校の寮生活の話から始まる。
出鼻から軽くいなされた。
ところが読み進めても、ロードの躍動感、爽快感というような期待してしかるべきものが、伝わってこない。
自転車競技という魅力的な題材を、うまく生かし切れていない。
生活や人物、心情の変化は程良く繊細かつ丁寧に描かれているのに、肝心の自転車に乗っているシーンの描写が、妙に荒く、誤解も多い。
例えば、「ギヤを落とす」という表現は、シフトアップのこと?
登りでは前走車による風よけの効果はなく、心理的な「引っぱり」の要素が強いことも理解されていない。
下りやコーナーで気を抜くと、すぐにも落車しそうな書き方だけれど、よっぽどじゃないとそういうことにならない。そうそう転んでいたら、とてもじゃないが体も財布ももたない。
決定的なのは、レーススタート後にコースが大きく変更されたり、いくら急造といってもゴール前の路上に車輪が滑るほどのオイルや砂・小石があったりと。あり得ないことのオンパレード。
また、他の方も触れられていたように、ジュニアチーム(高体連加盟の自転車部)としては設備・機材・選手管理のどれもが非現実的。
一方で、悪役かと思われた今泉「先輩」が何かと目をかけてくれたり、祖父の心が伝わったり。新たな人物の登場もあり、キャラクターの魅力は、前作からさらに増している。
それだけに、主題に関わる上記のような「間違い」には「ガッカリだ」、というのが正直な感想。
乗車場面の描写が不自然なほど淡々として短いのは、作者がこの部分に自信を持っていないことの、表れなのかと思う。
せっかくの題材なので、そうした部分も書き急がず、丁寧に描いて欲しい。
「3」と、発売間近の「4」への期待も込めて、★★★