長銀は、好況の時代に産業界の顧客への融資を通じて発展し、80年代には不動産融資でポートフォリオを広げ、2000年に米国のコンソーシアムに買収されて、現在は新生銀行として再生を図っている。この驚くべき紆余曲折の物語は、文化的にも、政治的にも注目に値するが、テットはさらに、この銀行に見られる問題点は、日本経済全体がかかっている病理を示していると考える。彼女は、日本は旧態依然のビジネスのやり方に頼った結果、不良債権を増やし、1990年代に銀行システムに総額1兆ドル以上の負担を負わせることになったのだと論じている。そして長銀の破綻と買収は、大勢の返済に行き詰まった債務者に厳しく対応することができなかったことによる当然の結末だと考えているのである。あくまで事業と割り切った米国のコンソーシアムは、存続可能な市中銀行へと生まれ変わらせる展望をもって長銀を買収したが、まもなく、隠されていた莫大な不良債権とコンソーシアムの新しい事業戦略に対する予期せぬ抵抗に直面した。真に迫った本書での、テットの歯に衣着せぬ分析は、議論を呼ぶに違いない。なぜなら非難の矛先が、総意を重んじる考え方、調和、階層制度、島国根性、変化への抵抗、とくに外国人による変化への抵抗といった、彼女が麻痺を起こさせる伝統とみなしたものへと向けられているからだ。
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その背景になった土地への投機、融資を行っていた銀行がどのように物事を進めていたのか分かります。紋切り型にアメリカ式経営と日本式経営と2つに分けて考える層の単純さも面白く描かれています。市場原理の冷たいアメリカ式と言いたいのでしょうが、セーフティネットがしっかりしていて人口一人当たりの社会保障費用が日本より高い環境を背景とした経営手法を日本に持ってくるなというなら理解します。
金融のビッグバンの前にアメリカに阿らないで、日本には独自のモデルがあると言い切れなかった弱さが徐々に露呈していく様は、別な分野でも同じ轍を踏まないよう警笛を鳴らしていると感じます。
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