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5つ星のうち 4.0
ぐだぐだと拘り続ける中年心情吐露映画、なのだが、、、。, 2011/10/23
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余談から始めたい。先日、あるラウンジで、ワンテーマ・カラオケと称し、角川映画のテーマ曲を次々と歌う内、南佳孝による今作の主題歌を入れた処、これって角川映画だったの?と皆に言われ、答えに窮してしまった。 だって、原作は片岡義男だよ、でも、今日では、角川映画が角川書店のメディア複合型ビジネスモデルであった事さえ知らない人たちが多いと思い、説明するのを止めた。 で、どんな映画だったの?と聞かれ、またまた答えに窮してしまった。 81年の公開時は学生だったが、青春映画としての浅野温子と古尾谷雅人の若者カップルの物語よりも、山崎努や原田芳雄ら中年男たちのぐだぐだとした生き様の方が妙に印象に残っていたからだ。 とは言え、21歳のガキには、不良中年たちの情念など分かるハズもなく、初見時は、作品に流れる微熱と倦怠なムードに酔っていた感があった。 あれから30年、すっかり彼らの年齢に追いついてしまった今でなら、当時とは違った思いを抱くんじゃないかと思い、購入、早速鑑賞した。 本作の山崎努は、アパレル関係の会社役員だが、もう長い間出社していない。妻と離婚、養育権を巡り、調停中のようだ。 更に、仕事上の関係で知り合った原田芳雄と浅野妙子の夫婦と三角関係に陥り、どちらが父親か分からない子供の養育費を払い続けながら、今も三人で奇妙な同棲生活を送っている。 そんな山崎が愛車ムスタングで拾った女が浅野温子。親子ほどの年の差があるふたりだったが、アンニュイな中にも互いに惹かれる関係となっていく、、、。 収まり返る事が出来ない、分別を持って生きていく事が出来ない、みっともなくもぐだぐだとして、拘り、つっぱりながら人生を始めようとしない、愛のさすらいびとのような男の心情。 如何にも、あの時代の中年の心情吐露映画みたいな感覚で、さすがは、監督藤田敏八、脚本内田栄一作と認識出来、改めて面白く観れたが、どこかで甘いと思えてしまうのは、自分が分別ついたツマラナイ中年になってしまったとの事なのか。 それとも、今は、こんな“夢”を見る事すら出来ない時代になってしまったとの事なのか。 浅野温子は当時20歳。今、見直しても、実に凛々しく魅力的だ。 それに、その脱ぎっぷりと愛欲シーンでの艶やかな色気っぷり、惚れ惚れする。 それにしても、藤田敏八、内田栄一を始め、出演者の原田芳雄も、伊丹十三も、室田日出男も、古尾谷雅人までもが亡くなっている現実。 この30年間の歴史の変遷に、ちょっと慄然としてしまった。
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5つ星のうち 4.0
80年代は片岡義男の時代, 2011/5/22
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1980年代、角川春樹と角川映画は、まさに時代の寵児でした。そんな角川春樹がイチオシしたのが片岡義男の短編小説でした。 三人称で淡々と情景を描写していくだけの、透明感のある文章はまさに無味無臭。起承転結やストーリーはいまひとつ。でも、読者が物語の始まる前や、終わった後を想像する、あるいは行間を読ませる、そのプロセスを味わうような作品でした。そんな映像化しにくい作品を、旬の女優さんを使って、次々映画化にチャレンジした、角川はそれだけでスゴイ。ただ、出来映えは好きと嫌いがはっきり分かれるビミョーなものでしたが。 現代では村上春樹あたりが近い存在かも。 当時を知らない世代が、いきなり見たら、グダグダで、意味のよくわからない何が言いたいのかわからない作品で終わってしまうのでしょうか・・。全員進学して、偏差値で輪切りにされ、できる限り良い大学へ入って、できる限り大きな会社に入ることが、最高の幸せにつながると画一的に信じられていた時代には片岡作品の中の自由にはあこがれがありました。悲しいけれど現代では自由そのものの価値がデフレ化したため、作品が理解されなくなっても無理ないのかもしれません。これは同時期に他の映画監督によりさまざまな味付けで製作された他の片岡作品「メイン・テーマ」「彼のオートバイ彼女の島」にもいえることですが・・。 現在は大女優となり、文化活動を始め多彩な才能を発揮している浅野温子ですが、生成りの白の洗いざらしのワンピースを来た、少女の面影のある彼女はまさに猫そのもの。ラスト近く、遠い目で入道雲を見つめる眼には「したたかさ」すら感じられます。すでに脇役で出演作品があるものの、本作が実質的なデビュー作といっても過言ではないだろう。対照的に藤岡敏八監督をはじめ古尾谷雅人、室田日出夫ほか多くの方が鬼籍に入られたことや、角川春樹が追放されたあとの角川映画のパワーダウンが、一つの時代の終わりを感じさせます。 大ヒットした南佳孝の同名のテーマソングも、古尾谷雅人や角川春樹に対する悲哀を感じさせるようで、つらいものがあります。 このたび角川映画35周年を記念し、角川主要作品が一斉にデジタルリマスター化され、大幅値下げで再発売されました。予告編が添付された。日本語字幕が付与された。ジャケット写真が変更された点が異なっている。デジタルリマスター版と言うことで期待される画質ですが、洋服の質感や原色系の発色など、古い作品ながらよく頑張って向上させているな、と思うが、旧作と見比べなければ解らないレベルです。 ※ちなみに、ムスタング男の離婚した妻が連れ去った少女は「おしん」で大ブレイクする前の小林綾子です。(お嬢様風で全然違う印象) 一般車両ががんがん走っている高速道路など、現在では許可されないようなロケを当時は平気でやっていたのかと驚かされます。
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5つ星のうち 4.0
あこがれの心象風景, 2011/8/17
レビュー対象商品: スローなブギにしてくれ デジタル・リマスター版 [DVD] (DVD)
この映画、主題歌(南佳孝の同名曲)、原作すべてに当時の自分のあこがれた世界の心象風景 の原点がある。夕暮れの第三京浜を上着をはためかせてスーパーホーク(HONDAの400です) で疾走する古尾谷雅人が印象的。このシーンにあこがれて後に中型免許を取り、私も当分の 間オートバイに乗ることとなった。 南佳孝の主題歌が印象に残る。大人っぽく洒落た歌詞、彼の若干しつこい歌唱がここでは 心地いい。以来時々CDを聴いてはいい気分になる。少し気障な男の世界がある。 映画は片岡作品の原作と他作品がミックスされており、忠実な再現ではない。もっとも 初期片岡作品は後の洗練された都会的なイメージのものと異なり、とても演歌的な世界だったり、 泥臭いものが多いので、ある程度作品世界は再現されている。 何といっても浅野温子。本当にハッとするほど魅力的。眼に非常な力があった。 そして古尾谷雅人のすねたような表情の数々。この方は、この頃この作品が一番光っている のではないかと思ってしまう。ぶっきらぼうでなげやりで、青春時代のいらだちというか うっとおしさ加減が、たぶん演技以上に自然に溢れている。 山崎努、原田芳雄、室田日出男ら大物も出ているが、室田は今観ると本当に迫力がある。 思えば80年代初頭の作品、この後怒涛のバブル時代を迎える。時代も自分も全てがこれから 先のまだ見ぬ世界に、輝く思いを馳せていたあこがれの記憶が映画と共に思い出される。 角川が残した幾多の映画作品の中で、異色の作品と言っていいのではないか。
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