バンコクやタイの生活風景、場所、道路、とりわけタイ人でもあまりいったことが無いクロントイのスラムの描写がとてもヴィヴィッドでした。また、軍や警察といったタイの権力構造などもさりげなくしかしきちんと描いていました。それにも増して、タイ人がもつ心の優しさ、外見上の丁寧さの一方で、日本人から見れば”唐突”な態度の豹変、激昂による短絡的な行動パターンもストーリー展開の中で表現されていて、タイ人と日々インターアクションをもつ駐在員ならではの著作と思いました。また、ストーリー展開も小気味よく、どんどん先に進みたくなりました。最もよかったのは、タイ人のこころを信じる日本人の行動であり、心にしみました。空港の別れのシーンにはタイ人が集まっただけでも胸にジーンと来たのに、「ぎんぎんぎらぎら」を歌わせるなんて、泰田さんも罪作りですね。続編が読みたいと思いました。木村さんをタイに戻してください。観光ガイドブックでは得られないタイの社会、タイ人の価値観、行動様式などの情報が得られるタイに関心をお持ちの方にお薦め作品です。 チャイヨー