33 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
成り上がり話ではなく、兄弟の対比ストーリーとしても興味深い, 2010/10/9
レビュー対象商品: スラムドッグ$ミリオネア [DVD] (DVD)
※映画内容について詳細な部分があります 未見の方はご注意ください※
ブームが過ぎてから、と思っていたら、メインの俳優がストリートキッズになっていた
とかのニュースで話題が再加熱し、随分遅く見ることになってしまった。
世界中でブームを巻き起こしたクイズ番組、「クイズ・ミリオネア」。
インドのテレビ局で、18歳の少年が前人未到の最高金額を手にしようとしている。
しかしあと一問を翌日に控え、少年は不正を疑われ逮捕されてしまう。
少年は何故学者をも上回る知識を備えていたのか。
収録が始まる夜までに、彼は無実を証明できるのか…
とにかく映像が素晴らしいと思う。
小さな、本当に小さな家々が集まって出来た巨大スラムの空撮、
荒野を疾走する列車の屋根に立つ二人の少年、
蜃気楼のように聳え立つタージ・マハールのイスラム風の天蓋、
踊る少女の腕にヘンナで描かれた複雑な模様。
「駆け抜けた人生の途中にヒントがあった」というような予告コピーがあったが、
少年が取調官に語る半生は余りにも過酷で、宗教対立で母を亡くし孤児になってからの彼は、
平和に暮らす者には知り得ない事を知り、また逆に、富める者にとっての常識を知らない。
祖国の高額紙幣に描かれた肖像画は見たことが無くとも、観光客が恵んだドル札は覚えている。
観光案内タクシーのタイヤを盗まれた八つ当たりに、子供の主人公を平気で殴る運転手の前で、
観光客に「本当のインドが知りたいんですよね?これがインドです!」と叫ぶシーンがあるが、
その時の観光客が「本物のアメリカも見せてあげる」と主人公に金を恵む。
これは勿論根本的解決ではなく、拝金的な資本主義国の傲慢さを顕していたと思う。
そして、主人公がひたすらに初恋の少女を探し続けるひたむきさが泣かせる。
それ故に対立した兄が、裏社会に身を落としてゆく。
ただ横暴で放埓な兄のキャラクターが前半で強いからこそ、その生き様が終盤に生きてくる。
しかしキスシーンで終わる映画なんて久しぶりに見た気がする。
すぐ浮かんだ映画ではトム・クルーズの『トップガン』位だ。
エンディングでは突如インド映画お決まりの群舞が始まり、
北野武監督の『座頭市』かよ!と突っ込んでしまった。
最近読んだ記事によると、子供の眼を潰して物乞いをさせるマフィアは実在し、
しかも、赤ん坊を攫ってきては物乞いに一日いくらで貸し出すシステムまであるそうだ。
マフィアの支配下にあるなら、収入は全て上納させられ、保障されるのは僅かな食料と寝床のみ。
それでも子供達は、仲良くするなら、自分達を蔑む(カースト制の影響もあるのか)街の人々より、
マフィアを選ぶと言う。「誰だって無視されるより、相手をしてくれる人がいいに決まってる」
その文の横に添えられた写真の、子供達の瞳に見据えられ、胸が痛んだ。
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5つ星のうち 5.0
悲惨さを逞しさと同時に描いた傑作, 2011/9/11
レビュー対象商品: スラムドッグ$ミリオネア [DVD] (DVD)
インドの街並みを歩いた事がある人は、新興住宅地とスラムの入り組んだイビツないでたちを感じざるを得ない。
そのイビツな歪みを体現しているのがこの映画の主人公にもなっているスラムの子供達だ。
悲惨さを売りにするような、可哀想でしょオーラを発する映画が多い中この映画は物語の面白さも手伝って一切そんな媚びた悲惨さを感じさせず、むしろ逞しさを感じさせる。
舞台となったムンバイがスラムの描き方が酷すぎると抗議していたが実際インドのスラムの悲惨さはあんなもんではない。
わざと失明させられる子供が描かれていたが、わざと奇形にさせられ物乞いにさせられる子がどれだけ多いか首都のデリーでもいたるところに存在する。
逞しく盗みを繰り返し屈託の無い笑顔で嘘をつきなんとか命を繋いでいく、その生き様に胸が締め付けられる。
インドで唯一牛もオートリキシャーも入れない街へと大変貌を遂げたムンバイ。
そのスラムから巣立った兄弟の辛過て苦し過ぎて激し過ぎる人生を描いた傑作。
終盤子供時代の回想シーンを、懐かしいと感じさせる凄い力作。
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5つ星のうち 5.0
神は偉大である。, 2011/7/3
レビュー対象商品: スラムドッグ$ミリオネア [DVD] (DVD)
ダニー・ボイル監督はイギリスの人ですが、映画の舞台はすべてインドです。
日本では、みのもんた氏の司会で人気を呼んだ「クイズ&ミリオネア」
元々このクイズ番組はイギリスが起源で、そこから世界80カ国ほどにまで広がったお化け番組です。
映画は、スラムで育った青年ジャマールが「ミリオネア」に挑戦する物語です。
クイズで勝ち進むジャマールは不正行為の嫌疑がかけられます。
取調べを受けている最中に、ジャマールの育ってきた過酷な環境が描かれてゆきます。
活気に満ち溢れ、混沌とした暑い国がものの見事に絵になっています。
そして、インド映画で御馴染みの大恋愛映画にもなっています。
まあ、演出がパワフルです。執念のようなものを感じてしまいます。
イタリア映画のネオリアリズムの時代を連想しました。
幼い日の出会い、初恋、裏切り。人生の苦味を存分に味わってもまだ醒めない恋。
ジャマールの兄、サリームの最期の言葉「神は偉大なり」が残りました。
エンドロールでは、はずせない踊り歌うシーンも用意されています。