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地域共同体の解体や原子(アトム)化した個人、アイデンティティクライシスなどなど、個人をめぐる社会的な惨状は現在様々に形容されることがあっても、それとどう向き合うかということに関して考えるヒントを提供してくれる本というものはあまり多くありません。
そもそも、何億、何千万という人々全てが尊厳や自己の役割、居場所を社会のなかで持ちたがること自体途方もない問題だし、全知全能の神にとってみたらひどく滑稽な試みなのかもしれません。しかし、もし社会が今よりもずっと小さいものになったとしたら?そんなことは不可能でしょうか?
ボネガットが「タイムクエイク」で述べているように、そのようなことが可能になるのは「拡大家族」によってのみです。それが血縁によるものであれ人工的なものであれ。本書はボネガットの家族観が色濃く表れた作品といえるでしょう。
現代社会の奇病、「孤独」。それを30年以上も前から指摘していたボネガットはやはりすごい感覚の持ち主です。
ボネガットファンの人は必読、そうでなくても―卑語が極端にいやでなければ―できるだけ多くの人がこの本を読むことを願います。
ボネガット、万歳!グロテスクな世界、万歳!
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