1965年に結成されたスモール・フェイセスのデビュー作、
リリースは1966年。スモール・フェイセスは、スティーヴ・
マリオットと、ロニー・レインが中心になって結成された
グループで、当時流行していたモッズにターゲットを絞って
マーケティングされました。“Face”はモッズの言葉で、
“イカしたやつ”の意味。メンバー全員背が低かったため、
“Small Faces”というバンド名にしたそうです。
また、スティーヴ・マリオットが甘いマスクをしていたため、
デビュー当時はアイドル的人気が高く、女性ファンの追っかけも
かなりあったようです。今回紹介する『Small Faces』も、
耳当たりの良いポップ・ソングもかなりあり、幅広いリスナーが
楽しめる構成となっています。しかし、“黒人の喉を持つ
白人”と評されるスティーヴ・マリオットのソウルフルで
エネルギッシュなヴォーカルは、すでにこの段階で突出した
個性を見せています。
また、モッズといえばグルーヴィーなR&Bを好むので、この
アルバムもそういったグルーヴが強く感じられます。ポップな
メロディとサウンド・プロダクション、スティーヴ・マリオットの
ヴォーカル、そしてブラック・ミュージックのグルーヴといった
要素が混じり合って、このアルバムでしか味わえない特別な
音楽が鳴っています。
まずはノリノリの『Shake』。適度にグルーヴィーで、適度に
ポップで。この時期のスモール・フェイセズを最もよく表現して
いる曲かもしれません。スティーヴ・マリオットのヴォーカルは
とんでもなくソウルフルでかっこいいですが、曲がポップな
だけに完全にポテンシャルを発揮するところまではいっていませんね。
入りが超有名曲、『Sha-La-La-La-Lee』に似ている『Come on
Children』。中盤の長めのインスト部が黒くてかっこいいですね。
ここで入ってくるヴォーカルを聴くと、スティーヴ・マリオット
というヴォーカリストがどれほど才能に恵まれたミュージシャンか
ということがよく分かります。ほとんどハンドクラップのみという
バックと、スティーヴ・マリオットのヴォーカルというシンプルな
構成にぞくぞくします。
一転して超キャッチーな『You’d Better Believe It』。聴き易い
メロディでスタートして、サビになると憂いを含んだメロディになる
というスモール・フェイセズお得意の展開です。このサビのメロディ
って何度聴いても胸にきますね。スモール・フェイセズでないと
書けないメロディであり、またスティーヴ・マリオットのヴォーカルで
ないとこの空気感が出ないオリジナルのものです。
『It’s Too Late』はいかにもモッズが好みそうな、少し暗めの
メロディに黒い演奏が重なるクールな佳作です。
ポップ爆発な『Sorry She’s Mine』。イントロのオルガンが流れた
瞬間から一気にボルテージが上がる、そんなパワーを持った曲です。
『You’d Better Believe It』のところでも書きましたが、この曲でも
サビの少し前にあの切ない独特のメロディが出てきますね。弾ける
ポップに切ないメロディのアクセント、そしてスティーヴ・マリオットの
ヴォーカル。文句なしです!
スモール・フェイセズのキャリアのなかで最もキャッチーな曲、
それが『Sha-La-La-La-Lee』です。タイトルがサビで歌われるところ
なんか最高ですよね。個人的にCDを作るときなど、何回この曲を
入れたか。元気にしてくれる、不思議な魅力があります。
このデビュー作では、まだまだスモール・フェイセズの本当の
魅力が発揮されてはいませんが、それでもこの時期の彼らにしか
作ることの出来ない明るく、グルーヴィーでポップな、素晴らしい
音楽がアルバム全体に亘って展開されています。もちろん天才
スティーヴ・マリオットのヴォーカルもしっかり楽しめますし、
私は大好きなアルバムですし、スモール・フェイセズのアルバムの
なかで最もよく聴いたアルバムだと思います。この瑞々しい魅力に
ぜひ触れてみて下さい。
Reviewed by ちょっと寄り道 [音楽の旅] http://sensun.blog83.fc2.com/