私が高校2年生だった年の12月、一緒にクロスオーバー(当時はまだ「フュージョン」という言葉はなかった)バンドをやってたGuitarの悪友が言った。
「明日カズミ先生のライブがあるんだけど行かない?」(そいつは当時渡辺香津美さんの弟子だった) 会場である六本木Pit Innに行って驚いた。
「Brecker、Gadd、Gometz、Grolnick、Mainieri...って、これカズミ先生のライブじゃないじゃん!」
楽屋のカズミ先生を訪ねると、先生が譜面を必死に練習してた。
「これ、さっきイキナリ渡されたんだけど、テーマが難しくてね。ハハハ」
「あ、でもこれ先生の得意なDm一発じゃないですか」
その場で書きなぐったと思われる、汚い手書きの譜面には曲のタイトルさえ書いてなかった。
それが”Not Ethiopia”だった。
リハなしの本番一発勝負だった。
その後のライブの模様はここに収録されている通り。
あれから30年。
友人も私も音楽を生業とする末席に居させてもらっていますが、あの夜の事は今も昨日の事のようです。
カズミさんのソロが始まると、眼光鋭く先生を睨み付け複雑なリズム・パターンで切り込んでくるGadd様。カズミさんのソロが終わった時のMicheal Breckerの驚いた表情。明らかにカズミ先生のソロに触発されて、全身全霊を込めて顔面を真っ赤にし額に青筋立てて狂ったようにブローしまくるBrecker(マイクがいらない」ものすごい鳴り)。意外に小柄だったGadd様のソロは、小屋が壊れるんじゃないかと本気で思ったとてつもない音量。
全身の血液が沸騰するような衝撃でした。
観客はみな立ちっぱなしで叫んでいました。
音楽の神様が舞い降りた夜でした。