すでにドヴォルザークとヤナーチェクの組み合わせの2枚のライヴ・アルバムをリリースしているラドミル・エリシュカと札幌交響楽団であるが、ついに待望のセッション録音が発売された。録音は2009年、札幌コンサートホール、Kitaraで収録されたもの。CD2枚組となっているが、総収録時間は77分程度なので、CD交換の手間を考えると1枚でまとめてほしかった。
「高い城」の冒頭からオーケストラの弦のシックな音色を背景に微細を尽くした表現となっている。金管はやや抑制を効かしているが、その分ほの暗いグラデーションの幅が広がっていて、耳をそばだてて聴きこむ演奏。札響の特徴として、やや渋い配色の弦の中で、木管を浮き立たせ、空高らかに鳴るようなところがあり、私はこれが北国の音色の様に思い、気に入っているが、その特性はよく捉えられている。
「モルダウ」は速いテンポが良い。この曲はちょっとテンポを落とすと、通俗的な感じになってしまう。速いテンポで締めた方が新鮮だし、全6曲を続けて聴いた場合の、軽重が的確に思える。下手に分かりやすく情緒的にやり過ぎると胃もたれしてしまう。「ボヘミアの森と草原から」ではもっと燃え立つようなものを期待するかもしれないが、この演奏も決して内省的に過ぎるというわけではない。十分に内燃性の情感をはらんでいて、聴けばそれが伝わってくる。「ターボル」と「ブラニーク」ではいくぶん開放的な音色となり、オーケストラも意気揚々といった演奏になる。これは楽曲の性格とともに、ここでややカラーを変えるという演出にも思える。決してガラッと変わるわけではないが、少しギアを変えた感じ。ここでも内面性豊かで、楽器のバランスには十全な配慮がある。木管の高らかな音色は様々にアクセントを添えている。フィナーレは壮麗で、幸福感に満ちている。