フランク・キャプラ監督の『スミス都へ行く』は1939年コロンビア制作で、第12回アカデミー賞原案賞を受賞した第二次世界大戦以前の名作の一つである。日本では真珠湾攻撃の2ヶ月前に公開された。アメリカ連邦議会の上院議席が一つ空白になったため、州の政党委員会は、党の指示に従いやすい傀儡として政治に無知なスミス氏をワシントンへ送る。しかし、正義感に強いスミス氏は腐敗政治を目の当たりにし……。現代でも連邦議会選挙で新人議員が登場すると、アメリカのメディアは「本日、60人の『スミス氏』が初めて議会に登院しました」のように報道する。アメリカの中に生きている名作の一つである。
しかしながら、本作の評価と商品の評価は異なる。ファースト・トレーディング社による古典映画DVDシリーズの一枚であるが、酷いとしか言いようがない。まず、パッケージ表面下部の文章のあやまり(助詞の重複)があり、またコメディ映画としているのも正確ではない。商品として販売するからには誤字や事実誤認のたぐいは是非とも避けて欲しい。背面の惹句も誰の手によるものかわからないが、批評口調であり商品の宣伝としては的確ではない。
DVDディスクは、メニュー画面もチャプターの選択画面もない。映像のリマスターなしは仕方がないとしても(それでも視聴に十分耐えうる)、映像への焼き付けのため字幕のオンオフが出来ず、日本語のみで英語の字幕もない。また、ディスクの生産工場の仕様なのかもしれないが──3台のDVDデッキで試したが──高速(4倍速以上)での早送りと巻き戻しができずストップしてしまった。格安販売のため、ある程度犠牲になる部分はあるだろうが、それにしても本商品の作りは、あまりにも不誠実である。