ペンシルヴァニア大学ウォートン校(経営大学院)でプライシングを教える教授二名(うち一名のラジュ教授は同校のマーケティング部門長も務める人気教授)が共同執筆した価格戦略に関するケース集。学術論文的な内容ではなく、伝統的なものから最近のものまで面白い価格戦略を紹介する内容。
無料を含め、顧客が支払いたい金額だけ支払えば良いシステムはワークするのか? あらかじめ明示された値下げ日に順次新しい値段が値札に連なっていくシステムが狙うものとは? 顧客に支払い金額を入札させるオークション方式が及ぼす効果とは何か? また、アグレッシヴな価格引き下げ競争を仕掛ける中国家電メーカーはどのような計算の下に動いたのか? 一見儲かっていないが実は大きな利益をもたらしている商品を見抜くマーケターの視点とは?
上記のように、少し変わった価格体系の導入例、その背景にあるエコノミクス、ワークするための条件が提示・整理されているのみならず、価格にまつわる戦略論やマーケティングの諸施策を考えるために必要不可欠なフレーム等も解説されており、思ったよりバラエティに富んだ内容だった。価格戦略一般に興味を持つ人は、幅広い事例とその背景にある経済合理性の解説が面白く読めると思う。
尚、価格戦略を幅広くカバーしている本書の構成上、「フリーミアム」を徹底的に掘り下げた『
フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』程の奥深さは持ち合わせていない、また、プレミアム価格戦略やパフォーマンス連動の価格体系等の効用等今更的なトピックにもそれなりの頁数が割かれている、等の点については期待値に織り込んでおくのが良いと思う。