これは、面白い。
スマートグリッドを、技術、政治、経済、国家戦略、企業戦略、
技術経済など、膨大な枠組みと素材を組み合わせ、IT革命を
凌駕するエネルギー革命の到来を予言した名著です。
ベースには、スマートグリッドを成す要素、つまり、インターネット、
コンピュータ、通信、電力の融合と認識し、ネット革命と、センサー
ネットワーク、それに、クラウドコンピューティングと代替エネルギー
革命の出会いが、スマートグリッドの登場につながると説きます。
ツールとしては、YouTubeならぬ、You Energyという、ピア・ツー・ピアでの
ICTとエネルギー制御というマイクロ制御を可能にするテクノロジーの
発展と、トフラーが以前説いた「プロシューマ」(生産者=消費者)という
思考概念、それに、クリステンセンの「イノベーターのジレンマ」という
新旧テクノロジー覇者の交代の思考的枠組みが主に使われています。
著者が得意とするシリコンバレーが、すでにシリコンバレーから脱却し、
スマートグリッドエネルギーバレーへと、オバマ政権の後押しもあって、
急速に変貌していく仕組みを、具体的なステークホルダーやベンチャー
企業、ベンチャーキャピタルを交えて描きます。
面白いのは、ITで覇者となったインテル、マイクロソフト、シスコ、
グーグル、IBM、それにGEなどが、次世代の市場として、その技術と
資源と資金を向ける新市場としてのスマートグリッド、スマートグリッド
シティの分野。この辺の競争、覇権争いの片りんを垣間見ることができて
大変おもしろい。
さまざまな、テクノロジカル・ジャーゴンを交えて、米国、中国、韓国、日本
のエネルギーウエッブへ向けての、国策、企業の戦略、技術動向も豊富に
解説した好著。