別映画の『U-ボート』や『眼下の敵』と比べてしまうと、数段劣る作品。ドイツ海軍が使用していた暗号、「エニグマ」が、如何に強力なものであるかの紹介は良いのだが、史実に忠実でないことは残念な限りだ。当時の潜水艦の性能についても、ここでは正確な歴史考証がなされていない。
単なる「アクション映画」としては楽しめるものの、アメリカの第二次世界大戦での功績を自画自賛した「自己満足的映画」であることに変わりは無い。何より恐ろしいのは、現代史に暗い方が、この映画を「歴史ドキュメント映画」として鵜呑みにしてしまうことだ。戦争の残酷さや、兵士達の敢闘精神を全面的に押し出した映画や本は、えてして戦争の美化につながっている。別映画の『メンフィス・ベル』が良い例だ。当時の潜水艦がどれだけの性能であるかを正確に知りたければ、オアフ島のパールハーバーに係留されている「ボーフィン号」に乗ってみると良いだろう。潜水艦はとにかく狭い。あんな空間で、この映画で描かれていることを実行するなど、不可能なのだ。
私は歴史を無視して「アクション映画」として楽しめたので☆五つとした。歴史ドキュメントとして観るなら、☆はマイナス五にしかならない。別映画の『パールハーバー』も同様だ。現代史に暗い方は、『東京裁判』も合わせて購入すると良いだろう。