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『グリンプス』というSF小説がある。タイム・スリップする能力を身に付けた主人公が、当時のブライアンに会いに行き、数々の障害を越えて『スマイル』を完成に導き、遂にはそれを聴くという話。まさにその主人公になった気分。かっての技巧的でありながら情感に満ちた、天使の様なブライアンの歌声はすっかり失われてしまったけれど、それを忘れさせてくれる程、全体に躍動感が満ち溢れていて、とにかく爽快! 彼岸から呼んでるかの如き、幽玄でミステリアスなオリジナルは、勿論素晴らしかったけれど、こんな晴れやかで楽しい感じはなかった。まさに『微笑み』! まるで良質の歌劇を聴いているようだ、特に「Wonderful」(バックのヨーデルも復活)から「Surfs Up」(新たに加わったストリングスも効果的)への流れは圧巻です。
バンドの要であるワンダーミンツを評して、ブライアンが以前言っていた言葉を思い出した。「もし彼らが60年代に居てくれたら僕も『スマイル』を完成出来たかもしれない。」あれってお世辞じゃなかったんだ(笑)。時折不安定になるブライアンを全力で支え、素晴らしい演奏を聴かせてくれる。最大のライバルであったポール・マッカートニーも当時を振り返り「自分も含めて、今までみんな何をやってきたのだろう。どこが進歩したのだろう?」と嘆いた。確かに今現在、何処にこれだけの傑作があるというのか?これは時代を超える古典である。そして、この作品を誰よりも待ち望んでいた弟カールを想うと涙が止まらない。合唱!
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