水木さんは、昭和32年衰退著しい紙芝居に見切りをつけ、その当時ブームになっていた貸本漫画に転向する為上京します。そして、昭和33年続々と単行本を出版しますが、本書もその内の1冊です。しかし、現在のような得意なジャンルが確立されておらず、ロケットマンのようなSF物、怪奇物、戦記物、ギャグ物等今では考えられないような様々な分野の作品を描いていました。因みに現在では、それらの物が渾然と一体化した独特の世界が構築されているのは、良くご存知だと思います。また、昭和33年は、月刊漫画雑誌の全盛時代で、私も少年等を愛読していました。
ストーリーですが、山奥で修行し、父親をも凌駕する?ようになった13代目宮本武蔵少年が、更なる修行を積むため山を下ります。同時に、13代目佐々木小次郎も武蔵を討つため下山します。途中無銭飲食の代金のかわりに熊を退治したり、山の主を追って東京の街を駆け巡ったり(ゴジラのパロディー?)、怪力山(力道山がモデル?)、朝日山(初代朝潮がモデル?)、銀田(金田がモデル?)、おまけに小西徳郎らしき解説者まで出てきて(なんと申しましょうか、という言葉使いで有名でした。また、以前復刻されたお笑いチームにも出ていました)、もうしっちゃかめっちゃか・・最後は小次郎と仲良くなり、2人して山へ帰っていきます。絵も構成もまだまだ稚拙ですが(怒られるな)、どことなく漂うユーモア感は、以後の作風を感じさせます。一方、付録に収録されているスピンオフの釣瓶落し、こちらは、昭和40年の作品ですから、キャラクターも作風もほぼ現在の物と同じようになっています。
今回付録には、いしかわさん他4名のエッセイが収録されていて、それなりに面白いんですが、書誌的なことを記載したエッセイが一つ欲しいところです(昭和33年は16冊の単行本を出版されたらしいです)。