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本書のテーマにはスポーツの他にもう一つ「芸術」がある。ただしここで問われている芸術は美術や音楽といった狭い範囲のものではなく、文学、あるいはスポーツをも含む広いものとして扱われている。そこでキイワードとなるのは「物語」である。日常の経験と物語は違う。しかし「人間の経験は物語の性質を持つ」。日常生活を意味づけ確かなものに感じさせるのは、古くは神話や伝説であったし、今では小説や映画、あるいはテレビドラマがある。そのようないわば「文化的な要素としての物語」は次に、私たちが自らを認識したり、他者に示して見せたり、また他者を理解したりするために必要な「相互作用としての物語」に影響する。私たちのなかには例外なく、自分をよりよいものとして他人に見せたいという欲求がある。「自己創出的な相互作用儀礼」。実人生のなかでも、人はドラマを演じるものなのである。
現代はしっかりとした神話や伝説が失われた反面、様々な物語が氾濫する世界。自己を縛る古くさい慣習からは解き放たれたが、それに代わる自分なりのアイデンティティを見つけなければならない社会。生きられる私を意味づける材料には事欠かないが、逆に確かなものは見つけにくい。文学や音楽や映画、そしてスポーツが、魅力的な物語を供給する手段であり、それが私を物語るための材料になることは間違いないが、それで私のすべてが語りつくされるわけではない。だから次々と新しい物語を必要とし、片端から消費して捨てられる。多様な物語に満ちた世界はまた、私の経験そのものをも確かなものにしにくい世界なのかもしれない。
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