出崎統の出崎統たる所以はコミカルとハードの塩梅が程よい時に実に味わい深い。この「コブラ」は「あしたのジョー2」の次回作でした。当時の東京ムービー新社が勧めていたプロシェクトとして海外との合作というのがありました。「コブラ」はイタリアとの合作だったと思います。このプロジェクトは劇場版と公開後テレビシリーズの展開を予定しており、原作の持つスターウォーズ的エイリアンたちとのビジュアルやファンタジーやアドベンチャーを多聞に内包したバラエティに富む物語、多国籍な展開が大きな期待を背負っていたようでした。
といいながら、まだまだジャパニメーションの単語すらない時代、大きな成果はあげられたのでしょうか? 出崎監督はコブラより数年間、マイティ・オーボッツまで海外に活動の場を広げることとなります。「日本のアニメーションの力を示したかった。」と当時のインタビューで
語っていました。近年、萌え系作品やハム太郎など、「挑戦」し続ける演出家、昔も今も出崎統たるゆえんでしょうか。
そんな背景の中で制作された劇場版「コブラ」ですが、当時のアニメ誌「OUT」「アニメック」などでは「一定のレベルは超えているが、何か足りない」という評判でした。このころ「噂の刑事・トミーとマツ」で大人気の松崎しげるのキャスティングも否定的な捕らえ方でしたね。声優ではなく俳優を起用したキャストが嫌だという声は、まだまだ多く、それを否定的に論じられたようでした。でも、睦吾郎のクリスタル・ボーイや吹雪ジュンのジェーンなんか、「いい」ですよね。田島オスカル令子のサンドラもトポロ教授の久米明なんかも味在るような気がします。
マルチプレーン撮影で、「家なき子」以来取り組んできた立体アニメの結晶がコブラであったのも特筆すべきことですが、音響も4チャンネルドルビーサラウンドに取り組むなど、画面と音響面からも立体感を演出しようとしたのが本作の特徴です。
私は野沢那智のコブラも大好きですが、松崎しげるのコブラも大好きなのです。
コブラ誕生30周年、2008年には遂に出崎監督、新作TVアニメ化が決定!男という名の物語。ふたたびです。