サム・ライミによる「スパイダーマン」シリーズが終焉したニュースに落胆した人は多いかも知れないが、ライミほどの才人がひとつのプロジェクトに長期間拘束されるのはある意味惜しいと思っていた者からすると、今回の発展的解消は良かったんじゃないか。
今作の撮影時にはこんな時局を迎えるとは思っていなかっただろうが、とにかくこれは、まるで自分の本道は飽くまでこちら、とばかりの原点回帰のB級ノンストップ・オカルトホラーの快作。「死霊のはらわた」シリーズや「XYZマーダーズ」のような疾走感と突き抜けたブラックなテイストが嬉しい。怖れ慄き、身をよじり、やってるやってると快哉を叫び、そして最後は笑うしかない。
貧しい年寄りに住宅ローンの融資延長を拒む。サムプライム問題を思わず連想したくなる発端だが、そうすると、足蹴にした主人公の女性銀行員が呪いでとんでもない災厄に巻き込まれてしまうのも意味深に見えるなぁ(笑)。
ハマー・フィルムへのオマージュのようなクレジット・タイトルを始め、「エクソシスト」、「ヘルハウス」、「ポルター・ガイスト」ら全編過去のホラー映画への愛が横溢している。かってのスクリーム・クィーンのジェイミー・リー・カーティスも出てくるし。
あっと言う間のハイ・テンションな100分間。ライミファン、ホラー映画ファンはニンマリする事確実だが、モチロンそんなマニアックな知識がなくても楽しめる。
「サスペリア」辺りを意識しているかのような音響プログレ、効果音の凄まじさを体感する為にもここはBDをチョイスしたいな。
原題は“DRUG ME TO HELL”、明快にして奥が深い恐怖のタイトルだ。