国内リーグの人気と実力とは裏腹に、長い間「無冠の帝王」と揶揄されていたサッカースペイン代表。だがその不名誉な呼び名も、一昨年の夏の欧州選手権をぶっちぎりで優勝したことで払拭された。そんな彼らの活躍を、指をくわえて眺めていた日本の多くのサッカーファンもこの著者のように思っていたはずだ。「なぜ体格的にはうちとあまり差のないスペインはこうして強いのだろう」と。
本書は、大学卒業後にスペインに飛び立ち10年以上もの間住むだけでなく、現地のサッカーの指導にも携わり、現在日本のバルセロナスクールのコーチをしている著者が明かす、(日本人と体格の変わらない)「スペイン人がなぜサッカーが強いのか」。
ソシオなどの文化的土壌も含め広くスペインサッカーを紹介する部分と、特にトレーニングの方法を日本のそれと比較する部分によって構成されている。前者を読めば、なるほどファンも選手も、子供の頃から呼吸のようにサッカーに接してきたかの国の文化的土壌を日本がまねするのには、一朝一夕の努力では叶いそうにないだろう。それだけに、後者のトレーニング的な内容では、スペイン的なメソッドを吸収する努力はぜひともしてみたい。詳細は本書を手にとってもらいたいが、日本に根付く、プレイ一つずつをモジュール化していく野球的な練習方法は、少なくともサッカーとは水が合わないのだろう。
しかし、著者が強調する「戦略的ピリオダイゼーション」というのが、具体的にどういったことなのか、そこが最後までわからなかったのが少し消化不良ではある。「サッカーはサッカーをすることで上手くなる」。なるほどそうかもしれないが、ならば実践形式の練習だけをすればいいということなのか。ここらへんは、著者自身も模索途中なのかもしれない。
ちなみに、同じくバルサのカンテラでの指導経験があり、現在日本の高校で指導するスペイン人も、奇しくも最近新書を書いている→
史上最強バルセロナ著者とは練習方法についての意見が異なっているようだが、これはコーチごとに独自の方法論があるのもスペイン流であるという本書の記述の証左なのかもしれない。