カルト作「Cube」で確かな才覚を見せたビンセンゾ・ナタリ監督、久々の新作。
企業のお抱え研究者、クライブ(A・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)は予算カットと研究成果提出のプレッシャーから一線を越えた実験に手を染める事に。
人間と様々な生物のキメラとして誕生したその新生命体はやがてDrenと名付けられて急速に成長。
高い知性と特殊な能力を備えたドレンと二人の研究者の間にはやがて危険な絆が生まれるのだが・・・。
SFやホラーファンだけでなく一般の批評家筋の評判も良かったようです。
その理由は見れば分かりますが、単純なSFホラーから微妙に逸脱したテーマが含まれている「異色作」になっております。
遺伝子操作による新種生物の誕生とそこから生じる恐怖というのは本作の元ネタでもある「フランケンシュタイン」を筆頭に数多に存在するわけですが、
それらの系譜に連なる作品でありつつ、見る側の予想を外す展開で先の読めない出来になっております。
表面的には只の「ゲテモノホラー」なのだが実力派の主演二人の演技力もあって、軽薄さはほとんど感じられません。
それが純然たるホラーを楽しみにしているとちょっとズレを感じさせる一因かも。
ブロディ氏も手堅いですが、やはりサラ・ポーリーが巧い。
彼女がドレンに対して自分の母親との関係を投影し始める辺りは説明不足ではありますが「ドラマ」としても見どころになっております。
しかし問題はやはりこのDrenと呼ばれる生命体の姿形にあり。
幼児期の姿からして「見てはならないもの」の雰囲気が濃厚で生理的に引っかかるものがあります。
成熟期のDrenはフランス人女優(デラフィン・シャノー)が扮しているのだが肉感的な肢体とCGで加工された顔相が異様にインパクト大。
「彼女」の成熟が展開上大きな意味を持つのだがインモラルな展開も孕んでおり、「生理的な嫌悪感」を感じる人も多いのではないでしょうか。
スプラッタ的な描写を期待すると肩透かしを食わされるかもしれませんが、ドラマとしてもちゃんと見れる不思議なSFモンスターホラーとしては「面白い」。
さて、ナタリ監督の次回作はあの「ニューロマンサー」!
シナリオに対して原作者ギブスン氏からもOKが既に出たそうです。
撮影はカナダやイスタンブールなどワールドワイド、当然ですがTOKYOも舞台になるそうです。
もしかして「サイバーパンク」ってリバイバルの兆し?