企業人であり、外国機関の長であり、国会議員であり、大臣である著者のスピーチ論である。スピーチタブー集はなるほどと思わせるものがあるし、海部元首相のスピーチの心得も大変参考になった。
しかしながら、内外の超一流の人物との交友関係が頻繁に語られており、途中からはスピーチの話ではなく、人脈づくりの話になっている。著者ほどの格に満たない多くの読者は無力感を感じることになろう。
スピーチに自慢話は禁物とのことであるが、この本自体自慢話のオンパレードである。再婚した奥様を早くに亡くされたことは、大変お気の毒に思われるが、六年かけて離婚した前妻はどうされているのだろうと、本筋でないところが妙に気になってしまう。さらに言うと、本書で浮気を肯定的に書く必要があったのだろうか。
役に立つ記述も多いのだが、自慢話が鼻についたり、プライベートが気になったり、この著者の本をまた読もうという気はしなかった。