返還前後の沖縄へ二度行ったことがあり、先島諸島の小浜島では、両手を広げると子供が飛び込んできて、手をつないで砂浜で何時間も貝殻を拾ったりした。以来沖縄は特別になり、三線と島唄がいつもなつかしい。この度は沖縄の素敵なCDを見つけたので紹介したい。
簡素な三線に続き、女性の囃しで踊る様子が目に見えるような「祝節」、とびきりなつかしい歌声は島幸子の「いぇー里よ」“思い思って 咲いた喜びも もう一度咲かす迄は 蕾でいたい ねえあなた”、「守唱(もりうた)」では、“ねぇ神様おねがい 道を広くしてあげて下さいね ねんねんこ”と歌う夢のゆりかごは何とやさしいことだろう、そして「エピローグ」では村の儀式に招かれたような不思議な豊かさを覚える。沖縄出身で近年有名になった歌手は何人かいるが、心に沁みるようなやさしい、素朴な唄い口ではこの島幸子さんに及ぶ人はいないと思う。
ヒーリングCDとして全編、海の波の音、蝉時雨の音が軽く重ねてある。音楽を楽しむにはこうした背景音はない方がいいかもしれないが、本作では不思議と心地良いもので、実際、僕が沖縄に行った時、西表島では現地のおじいさんが三線を弾きながら唄ってくれた時、波の音が聞こえていた。ちなみに、沖縄のDVDを見るとき、このCDをかけるととてもいい。
本作は、現地ミュージシャンを中心に、島幸子のヴォーカルをフィーチャーして、琉球胡弓、琉琴、島太鼓も交えた、商業化以前の心なごむ沖縄音楽を聞かせてくれるもので、沖縄音楽の源流である豊穣と無病息災祈願の神歌の雰囲気さえ伝えてくる。全12トラック、55分14秒。
なお、タイトルは Spirit of Healing Okinawa となっていて、ヒーリングとか癒しと聞くだけで拒否してしまう一部の人たちに知られないだろことが残念だ。例えば「沖縄三線と島唄 〜素朴そのものの調べをあなたに〜」位にしてみたらどうだろうと思ったりする。