父親から虐待を受け続け、それゆえの鬱屈した思いを爆発させ級友を傷つけたコールは、刑務所行きから逃れたい一心で「サークル・ジャスティス」の場で提案された「試練」に挑戦する・・・。
その「試練」とは、アラスカ南部の無人島で1年間、たった一人で生き抜くこと!定 期的に食料は提供されるが、それ以外の一切を自分の力だけで切り抜け、冬は氷に閉ざされる過酷な自然と向き合って生きる日々を通して人間 的な「更正」を計るというこのプログラムを受け入れたコールだったが・・・実ははなから逃げ出す事ばかりを考えていたため、無人島生活を始めてすぐにその報いを受けるはめになる・・・。
荒々しい自然の猛威の前にひとたまりもなく打ちのめされ・・・目の前には巨大な白い熊が立ちはだかる・・・血まみれとなって死を意識するコールだった・・・。
見 所はシロクマも含めて描き出される厳しくも美しい自然と、その中で生きる事によって自然との一体感を持ち始め、ネイティブアメリカン(インディアン)の男 達の導きによって次第に目覚めていくコールの様子ですね。鳥や獣たちのマネをして踊り、冷たい湖に浸り、トーテムポールを彫る・・・。都会生活では得られ ない日々がコールを変え、最後には彼自身も、そして周囲の人々も巻き込んで、心からの「謝罪」と、「許す」という行為を自然に行えるようになる様子は、一 種神々しく、感動的でもあります。
「スピリットベア」というのはその様な自然の象徴として登場するシロクマ?で、厳しくも優しい、偉大な存在として描かれて印象的です。
犯罪者の、特に、青少年の「更生」には「罰」しかないのか?そんな疑問に一つの例を示し、同時に、自然と一体となったスピリチュアルな生き方の素晴らしさを教えてくれる、実に美しい小説となっています。