少しかわった感触のする本である。宗教研究者である著者が主にmixiで知り合った二十歳そこそこの男女にインタビューし、その語りを資料としながら著者の考察が展開されるのだが、これが素直なデータの分析にはならず、対象となる若者のパーソナリティに関する屈折の多い読み込みや学問的な見解の表明や著者自身の自己語りがないませになった複雑な記述が提示されており、ついていくのにしばしば難儀する。特に学問的な指摘をしている部分に関しては、昨今の宗教学の知見にある程度は親しんでいる読者ではないと、話題のポイントがよくわからず、当惑するのではないかと思われる。
といった読みにくさはあるのだが、しかし、現代の若い世代におけるスピリチュアル事情について論じた作品として、本書はかなり価値が高い、というのが結論的な感想だ。著者も述べるとおり、近年のスピリチュアリティ現象を大局的に考察したり偏狭な思いいれから賞賛してみたり逆に詐欺的ビジネスとして批判する論書は従来もあったが、こうした一般的なスピリチュアル・ピープルの内面にじっくりと切り込んでみた論考は極めて新しい。そして、そうした若者の心意や行動のなかに、30、40代のスピとは異なる性格のスピのかたちを、特にますます私秘化しつつも独特のモラルが育成されつつあるスピの様相を見出していく思索は、実に興味深かった。
スピ現象の「ゆくえ」を考えていくうえでの、議論のたたき台になる重要な一冊であろう。