クララとマリオの二人は掘り出し物というアパート物件をある日訪ねる。愛想がやたらと良い管理人が案内するその物件は激しく老朽化していて、クララはすぐにもその場を立ち去りたくなる。しかし突如、この管理人が二人を襲い始めて…。
スペインで2006年に制作されたホラー・ドラマシリーズ「Peliculas para no dormir(眠らないための映画)」のうちの1話です。原題は「Para Entrar a Vivir」。
監督は「ネイムレス 無名恐怖」「ダークネス」のジャウメ・バラゲロ。以前の二つの作品同様、この監督らしい凄惨で陰鬱きわまりない、底なしの恐怖が全編にみなぎる作品です。本国スペインではテレビで放送するために作られたということですが、日本の放送コードに照らせば、少なくとも地上波では許されないほど残虐な映像描写に、背筋が凍ります。気の弱い人はおそらく正視出来ないでしょう。
むごたらしい物語展開は、バラゲロ監督の得意とするところで、この作品もその才能を遺憾なく発揮しています。しかし一方で、オチのつけかたは決して見る者にカタルシスを与えてくれません。管理人の女がなぜ彼らを執拗に追い続けるのか、十分な説明がなされているとはいえませんし、この幕切れにもどかしさを覚えるのは私だけではないと思います。
また、途中で出てくるフラッシュバックの積み重ねや、物語終盤のスローモーションによる映像モンタージュは、何か意味があったのでしょうか。監督の演出意図を計りかねました。
「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」シリーズの6エピソードのうちで私がお勧めするのは以下の2本(だけ)です。
「ベビー・ルーム」
「エル・タロット」