多分、著者は執念を携えた優れた実務家なのであろう。彼の仕事がわが国の国益に大きく貢献したであろうことは想像に難くない。優れた実務家が経験談を語っているのであるから、貴重な記録であるとも言える。
しかしねぇ。
自身の業績、執念は他に真似できないと自賛しながら、同僚、キャリアの体たらくを書いているのは、真実としても品を感じない。
また、自身の経験談を中心としているが故、事件の全容が見えない。『後は知らない』『本には書けない』というのは、読み手を無視した独善的な文章と受け止められても仕方ないだろう。全容が見えるのは、著者の病気、浮気、離婚、復縁話ってのもどうかと思うよ。
言い回しも口語過ぎる。自身の価値観を独特の言い回しで書いた文章は、いやな上司からもらった説教メールのようで、決して愉快ではない。その一方で、『あとがき』ではこれまでの批判をご破算にして警察官にエールを送っている。いやな上司が退職する時の謝辞のようで、不快感すら覚える。