「日本版フランダースの犬」ということでしたが、『泣かせてやろう』というのがミエミエの変な演出はなく、また、物語を語るのに、回想形式を選んだのは正解だと思います。
脇を固める豪華な面々(中村嘉葎雄、岸惠子、香川照之、檀れい、浅野忠信、等々)の確かな演技もあって安心して全体を観ることができました。特に、草太のおじいちゃん(中村嘉葎雄)の言葉や父親(浅野忠信)なども心に染みました。檀れいのやさしいお母さんぶりもよかったなぁ。
北国の寒々しい昭和初期の風景に、人々の心の温かさ...。山形県庄内市の美しい大自然がそのまま美しい絵画のようだった。遠い昔話特有のはかなさを感じさせるものでした。
美しさも醜さも豊かさも貧しさも現代の生活で忘れ去られていることを、ひとつひとつ思い起こさせてくれる。
また、主役の森本慎太郎君という子は、ジャニーズJr.の弟らしい。キレイな顔立ちで、よく言えばピュアな演技でしたよ。
以上、評価すべきところは結構あるのですが、マイナスポイントをいくつか...。
まず、極貧の少年の格好や顔がボロで汚れたという風ではないこと。それより、なにより彼の絵の才能や描くことへの喜びや熱意があまり伝わってこない。また、サーカスのピエロとの意外な関係は面白いけれど、愛犬チビの活躍も、財布を盗まれた時や、汽車や用務員の接近を知らせる以外にほとんど活躍の場がない。大八車を引っ張るシーンではしっかり引いていないし...。ラストの事を考えると、もう少し草太とチビ(犬)との絆の強さをアピールするエピソードが欲しかった。