この本の構成は、「昔話の形態学」(ウラジミール・プロップ)、「千の顔をもつ英雄」(ジョゼフ・キャンベル)、「神話の法則」(クリストファー・ホグラー)といった物語理論の歴史的名著とも言うべき本の内容がわかりやすく説明されている部分(以下Aとする)と、それらの理論を実践的に使うための著者オリジナルの手法が説明されている部分(以下Bとする)から成ります。比率はAが全体の約3分の2、Bが全体の約3分の1です。
Aの部分で説明される情報だけでも、星5個どころか10個分の価値があると思います。歴史的名著の要点がわずか約170ページに要約されているので、時間対効果、費用対効果、ページ対効果の点から考えて、非常に優れていると考えられるからです。
Bの部分もAの情報価値には遠く及ばないにせよ、非常によく説明されていると思います。
この本の著者である大塚英志氏に対しては、「オリジナルの創作論の著作者として」というより、「データベースの著作者として」高く評価できます。
物語創作に興味があり、かつ上述したプロップやキャンベルの本などを読んだことのない人に対して、私は自信を持ってこの本を勧めます。