米国の著作を訳したことで、一躍日本にて「ストーカー」という言葉
を流行らしたという著者。本書はそんな心理カウンセラーの彼が解
説する、その名のとおり「ストーカーの心理」だ。
第一章では、まずストーカーの定義やタイプを紹介。これを読む限り、
彼らストーカーのストーキングする動機は、ほぼ色恋沙汰によるもの
であるということだ。ということで必然、ストーキングのターゲットのそ
の多くは異性と言うことになる。中には同性愛者もいるのかもしれな
いが。また、お金を要求するようになるというのは、初耳だった。
二章からは皆さんお待ちかね(?)、著者が実際にインタビューした
ストーカーさんたちの告白がたっぷりと収録されている。被害者では
なく加害者である。ここらへん、ストーカーという存在の特異性が際
立つ。著者がその訳した本のあとがきにて電話番号を晒したところ、
思いの外、そのストーカー本人たちから「私、どうもストーカーみたい
なんです」と続々コンタクトをとってきたんだそうだ。
だが自らそう告白し著者に会ってはみるものの、彼ら彼女らの多くに
共通するのは、自分のやったことについて話す時の、その罪悪感の
希薄さだ。彼らはむしろ自分を被害者の側だと思っているのだ。彼ら
に言わせればそのストーキングは相手への報復、一回のオモテでは
なくウラなのだ。それはDVと似ている。もしかすると、DVにて関係が
解消した後に、それはストーキングと名前が変わるのかもしれない。
ときに、あたかも自分とは別のだれかが犯したことを話すような彼らの
口ぶりは、宮崎勤がネズミ男とか言っていたのを彷彿とさせ、ゾーッ
とする。中には「ストーカー経験者」としてラジオ番組にまで出演した
人もいるが、ノーギャラでいいと言っていたくせにギャラが出ないとわ
かって後から文句を垂れるなど、なかなかナメたマネをしてくれる。
というように、著者による実際のストーカーさんたちへのインタビュー
取材が、この本の一番おもしろいところだ。「心理カウンセラー」という
彼による桶川の例の事件の「推理」や、いかにも「元気な子はストー
カーしない」と言いたげな「ストーカーを育てない17ヶ条」など、ストー
カーに負けず劣らず「妄想乙」な箇所もある。長所だけでないのは人
間も本も一緒。これくらい目をつぶって読もう。