偽りというのはちょっと乱暴かもしれませんが、宣伝文から得られる印象とはかなり異なる作品です。
確かに広義の意味で「サバイバル」ノベルなのでしょうけれど、作中にアクションやバイオレンス要素はまるきり存在しません。
いやバイオレンス要素は、無いと言ったら嘘になります。あるにはあります。それなりにどぎついのが。ただこれも、普通に『バイオレンスな小説』と評したときに期待されるものとは、まったく違っているような。
強いて言うならこの小説は、「青春群像劇」なのでしょう。これはこれで、どこが青春なんだと怒られそうな紹介ですけれど。
あるいはサイコノベル。超常的ではない意味での、心の揺らぎを描いた小説。
好き嫌いの大きく別れる小説かと思われますが、私は非常に気に入りました。
限りなく厭世的でありながらそれでもどこか前向きな心情を綴った作風は、ブギーポップ(電撃文庫)の初期シリーズに通ずるところがあるかもしれません。もしくは主人公をより暗くした麻生俊平(ザンヤルマの剣士やミュートスノート戦記/富士見ファンタジア)。
また最近のタイトルなら、川原礫(アクセル・ワールドやソード・アートシリーズ/電撃文庫)の作品にも「ある意味では」近いかと。
上のタイトルなり作者名なりにピンと来る方は、騙されたと思って読んでみて下さい。読後、やっぱり騙されたと後悔するかもしれませんが。