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ストリートの思想―転換期としての1990年代 (NHKブックス)
 
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ストリートの思想―転換期としての1990年代 (NHKブックス) [単行本]

毛利 嘉孝
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

1990年代に何が起きたのか?思想は今や、大学からストリートへ飛び出した!ホームレスや外国人労働者の新しい支援運動がスタートした90年代。イラク戦争反対デモからフリーターの闘争までの、様々な運動が活発になったゼロ年代。音楽やダンスなどのサブカルチャーや「カルチュラル・スタディーズ」などの海外思想と結びついて成立した、新しい政治運動の淵源をさぐる。インディーズ文化など80年代の伏流が、90年代の「知の地殻変動」を経て、ゼロ年代に結実するまでの流れを追う異色の思想史。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

毛利 嘉孝
1963年、長崎県生まれ。京都大学経済学部卒業。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジにてPh.D.(sociology)を取得。九州大学助教授などを経て、東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科准教授。専攻は社会学、文化研究。音楽や美術などの現代文化やメディア、社会運動を中心に研究と批評を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 270ページ
  • 出版社: 日本放送出版協会 (2009/07)
  • ISBN-10: 4140911395
  • ISBN-13: 978-4140911396
  • 発売日: 2009/07
  • 商品の寸法: 18.4 x 13 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
タイトルよりも副題に興味を惹かれて読んだ。本書は新しい運動の芽生えに期待を込めた現現代史でもある。
80年代を前史に据えるここ20年間の分析には感心させられるものが多々ある。特にインターネットと携帯電話によって、日本全体が山谷のような「寄せ場」になったとか、非正規労働者の増加は、ポスト・フォーディズムの主流産業になった情報関連産業市場の、個人のアイディアを100%買う、といった労働形態が全産業に拡大したものという分析には鋭いものを感じる。
しかし、現在の閉塞状況を打ち破る方法が、ストリートに集う人々の政治心情をこえた緩やかな連帯に中に存在する、という記述になると、何処かで聞いたことがあるなあと思ってしまう。60年安保における「声なき声」、ベトナム戦争時の「ベ平連」、大学闘争時の「全共闘」など緩やかな連帯が新しい運動形態として一時もてはやされながら消え去っていったことを思い出すのだ。
著者は階級的思考にただならぬ嫌悪感を持っているようだ。赤木智弘や雨宮処凛をその面から批判する。しかし、ストリートの思想は両義的である。中国の若者によるナショナリズムに突き動かされた街頭デモはつい先ほどのことであるし、歴史的にも、日露戦争の講和条約内容に反撥する民衆の大暴動など枚挙に暇がない。今はおとなしく路上にいる日本の若者もその主張が聞き入れられない時、ついには「暴徒化」しないとは言い切れない。無思想の行動が社会を変える起爆剤になりうるか。その一方に何でも「風俗化」してしまう強力なマスメディアもあるなかで、著者のいう「コイン」の裏側の思想をさらに深めることが重要であるように思える。
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By 志銘
形式:単行本
筆者の文章はいつ読んでも晦渋さがなく、実に読みやすい。現代思想について80年代に書き初めた論客の文章は、どうにも修辞やレトリックの華麗さを追いすぎて鼻につくものが多くて辟易するのだが、そういう部分がないのはとっても助かる。東京のあちこちで「こんなことがあったのか」と目を開かされるような話が多々あった。ストリートの感覚というのが何となくおぼろげに見えて来る。筆者の著作『文化=政治』もそうだったが、読むと元気になれる本である。身体感覚に根ざした何かがある。単なる学術書ではなくて、もう少し自分を外に開いていくような一冊。

美術評論からメディア論から、とにかく守備範囲の広い著者のこと、前半のポストフォーディズム社会における社会環境の変化について書いている部分は実に興味深く読めた。個人的には、あまりにロマンティック、オプティミックすぎてあまり読む気にならず途中で放り出してしまったが、アントニオ・ネグリの『帝国』、あれを読んだ人であれば、さらに面白く読めるだろう。

ただ、これほど政治とストリートの絡み合いを肯定的に捉えているのに、雨宮・赤木らを批判的に見ていることはやや意外だった。確かに一見ラディカルに見える既得権批判は、その実、最終的には自分自身の基盤すら掘り崩しかねない要素を多大に含んでいる。世代間闘争、階級間闘争がいまひとつリアリティをもたない風土でそれを言い出す若者がいることに違和感を持ったり、あるいは筆者が70年代以前に見て来た古い感性を彼等のなかに見出しても不思議ではない。

しかし、雨宮は直感で動きながら運動神経でもって世の中の変貌を捉えていくタイプの人間で、その辺がいい方に出れば飯田泰之との対談本のようなものが出来上がったりもする。少なくとも、感性においてそこまで硬直している人間ではない。

赤木にしても、希望は戦争と書きはしたが、それはリベラルよりの左翼の中に潜んでいる保守的感情―流動性を避けられない世の中で流動性から目を背け、対決しようとしない退行的心情―を撃つレトリックであることくらい、とにかく文章を書く上でも他人の作品を評する上でも誠実な筆者には百も承知であろう。

果たして「ロスジェネ一派」と路上で対峙したとき、筆者はどういう会話をするのだろう。筆者には自分と同じ文化、類似する文化資本のカタログを共有する人間だけを主体に見据え、情念ではなくスタイルを提出するだけの運動なんて、空しいものではないかと思うのだが・・・。

とはいえ、ロスジェネ一座におそらく筆者の中でカウントされているであろう、雨宮、増山あたりは路上で見かけるが、デモの中に筆者の姿を路上で見ることはあんまりないから、その心配は無用か・・・(苦笑)。
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21 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
ためになった。ここ10年ほどの間に都市の各所で見られるようになった新しいタイプの文化的政治運動ないしは政治的文化運動の現状と意味、そしてその思想的な系譜を辿るという趣旨の本だが、関連の情報が実に理解しやすくまとめられた上で手堅い分析がなされており、学びどころが多い。著者の、オタク系批評を「仮想敵」としまた「ロスジェネ」一派とも微妙に差別化しつつ、古臭い「左翼」とは異なるファッショナブルかつ人情味のあふれる感じのする左翼的言説に魅力を感じ、また日本におけるポストモダン思想の受容形態の変遷を、「ニューアカ」の流行から「カルチュラルスタディーズ」の導入を経て理論と実践をバランスよく配合した「文化研究」へ、といった展開に見ながら同時に音楽や現代アートを中心とする若者文化の現代史を振り返る、という論も楽しく読めた。「著名」な「ストリートの思想家」たちの紹介も、私はほとんど知らない人であったが、誠に興味ぶかい。それで、このわくわくするような「ストリートの思想」がもたらした具体的な政治的成果は何?という疑問は湧いたが、少なくともその「思想」の意義と可能性と存立根拠は十分に得心した。
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