ファーストコンタクトや宇宙空間での艦隊戦など、エピソードがてんこ盛りの内容です。
複数のプロットが同時並行していくといっても、それほど複雑ではないので読みやすいといえるでしょう。ただいくつか天文学や物理学の専門よりの言葉が説明も無く出てきますので、気になる人もいるかもしれません。
この作者のうまいと思うのは省略の仕方で、余計な描写をごちゃごちゃとしません。例えばコンピュータウイルスが原因かもしれないという仮説は記述しても、そのウイルスを見つける過程はばっさりと省略します。謎を巡る推論が主で、その他の部分はいらないと割り切っている姿は、最近闇雲に長い小説が多いなかで潔く、高評価できます。
ただ問題は、登場人物がパターン化して個性に乏しいことと、AADD側の社会の描き方が気味が悪いほどユートピア化されていること。このため読んでいる間、面白いと思う一方、居心地の悪さが付きまといました。