ペトルーシュカとプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番が、1971年9月、ピアノのための変奏曲が1976年6、7月、ブレーズ第2ソナタが1977年9月いずれもミュンヘンにて録音。元々が2枚のアルバムであったものを合体したアルバムなのでこうなるのも仕方が無いのだろう。むしろ名演を1枚で聴くことができて嬉しい。
特にペトルーシュカとプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番の2曲は、1960年のショパン・コンクールに優勝後、11年の沈黙の時を経て、アルバム・デビューを果たした有名なアルバムである。デビュー・アルバムにこの2曲を選択したところが、とても面白い。ピアニストというピアニストを聴きまくっているピアノ好きの方はご存知だと思うが、カナダにマルカンドレ・アムランという大変なピアニストがいて、不可能とも思える超絶技巧曲を全て制覇しつつあるのだが、この『ペトルーシュカからの3楽章』、及び『ハンガリー狂詩曲第6番』のような『技巧をひけらかすだけの曲』は弾かないと語っていて、あくまで取り上げるのは技巧と内容を兼ね備えた曲だけだと公言しているのである(出典『CD Journal』2006年11月号のインタビュー)。まさにここでのポリーニの演奏に対する批判とも受け止められて非常に興味深い。
とは言うものの、ぼくはこの曲は大好きである。ピアノという楽器の表現力の極限まで知らしめてくれるような傑作だと思っている。実際この演奏を聴いて、一体何人で弾いているのか、あるいはオーケストラを聴いているようだ、と思うのは無理のないことだと思う。そういうアルバムはそうは存在しない。
その後のポリーニのディスコグラフィーを見てもこの曲は特異な存在だと思う。ポリーニの若々しさを感じられる点でも数少ない曲である。そしてポリーニの演奏で絶対に外せない一枚だと思う。