21世紀のロンドン。少年ルシアンはがんに冒され、つらい化学療法を続けながらベッドの上で過している。16世紀のべレッツァ。この都はルシアンの暮らす世界と並行して存在するもうひとつの世界(パラレルワールド)にあり、絶大な権力を持つ女公主によって統治されている。ある日、マーブル模様の手帳を父親からもらったルシアンは、突然べレッツァへと時空を越えた旅(=ストラヴァガント)ができるようになる。16世紀のべレッツァで過す時のルシアンは、体調も万全。ロンドンとを巧みに行き来しながら、魔法の師匠ロドルフォからさまざまなことを学ぶうち、女公主シルヴィアを救う大冒険に巻き込まれていく。
圧巻なのは、美しいものを描写する著者、訳者の表現力である。水に浮かぶベレッツァという都そのもの、豪華なドレスやガラスでできた仮面はもちろん、小さな焼き菓子さえもぴったりの表現を与えられて輝いている。花火の打ち上げられた夜空を描写する文章はとりわけすばらしく、頭のなかには尾をひいて水の中に消えて行く花火がいつまでも残るだろう。
本書にはいわゆる「悪役」も登場するが、それ以外の人物も決して清廉潔白で完璧な人間というわけではない。都を治める女公主シルヴィアは優雅で美しく、人々の信頼を集めているが、恐ろしいほど無慈悲で残酷な一面を持つ。ルシアンの師匠ロドルフォは思慮深く教養あふれる美しい銀髪の紳士だが、愛する人の前では嫉妬深いただの男になってしまう。著者は生々しい感情もきちんとすくいあげて描くことで、血が通った人物たちを作り上げている。
また、物語には常に「死」の暗い影が見え隠れする。それは終盤になるにつれどんどん濃くなり、物語を一気に意外な結末へと導いていく。この死の存在もまた、本書にどっしりとした魅力を与えている。(門倉紫麻)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
壮大な異界と、魅力的な登場人物,
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レビュー対象商品: ストラヴァガンザ―仮面の都 (単行本)
「ストラヴァガンツァ」とは、イタリア語で「奇妙なるもの」と「異国から来たもの」の意を合わせ持つ単語であるが、この作品の中では、架空の中世イタリアに似た「タリア」国に、異なる世界から現れた人々を指すようである。21世紀のロンドンに住む少年、主人公ルシアンもその一人だ。ルシアンは難病に冒されているが、サッカーやコンピュータ・ゲームやインターネットを愛する僕らの同胞でもあり、そんな彼がストラヴァガンテとして作中で生き生きと飛び回る様子をみているのは楽しい。……きらびやかなヴェニスに似た「ペレッツア」はガラス細工とマンドラ(ゴンドラ)と仮面が跳梁する都市でもあるが、同時に水路の悪臭やペスト、政争といった生々しい現実にもさらされた世界でもある。「光」を意味する名前を持つ主人公ルシアンが、この世界でのさまざまな仕掛けによって立場を変えていく様にぐいぐいと引き込まれる。そして、あっと驚く結末が隠されている。素晴らしい。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ヒットです!,
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レビュー対象商品: ストラヴァガンザ―仮面の都 (単行本)
表紙の奇抜さに惹かれ手に取り読んでみた所、とてもおもしろく、はまってしまいました。最後まで期待を裏切られる事が無かったです。舞台となるヴェレッツァの描写も良く目に浮かぶようでした。登場人物にも好感がもて、読み終わったときにはちょっと切なく、そして幸せな気持ちになりました。2作目も面白いですよ!!!
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
久々のヒット!!,
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レビュー対象商品: ストラヴァガンザ―仮面の都 (単行本)
すごく面白かったです。場面がテンポよく変わり、所々に伏線が張られ、物語の行方を期待させてくれました。多くの登場人物が最後まで物語に絡んでくるので途中“誰だっけ?”読み返すこともありましたが、そんな面倒臭い事も忘れるほど楽しめました。私としては博士がかわいくて好きです。本を好きになったきっかけが『ナルニア国の物語』シリーズでそれからよくファンタジー系の本を読んできましたが久々に引き込まれました。とってもお勧めです。
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