76年作。フランスのプログレバンドPULSARの2nd。シンセ、メロトロン、ムーグ等の生む、フワフワ足場が無い音響空間の中、時に鋭く刻みだすドラム、ひらめくアコギやフルートが鮮明な印象を残す。けだるい空気、幻想的で叙情的、淡い色調で広がっていく音の雰囲気・世界観に身をゆだね、浸る、溺れる。今では好きな作品だが、最初聞いた時に途中で眠ってしまった苦い思い出がある。買った当初はB面の3曲は好きになれたが、A面の大作には、爆発を期待させるような展開が延々と続くばかりで結局何も起こらない…みたいな退屈さを感じた。フランスのプログレでアトールの次に名前が挙がってもおかしくない変に評価の高いバンドだが、そんな「フレンチプログレの名盤!」などといった大げさな言い方ではなく、もっと違った形で評価されるべき存在のように思う。
「The Strands of the Future」は22分の大作。キーボード群がSF的なイメージを生み壮大に広がっていく。ボーカルは少ないがフランス語。中盤、シンフォニックに高まった場面の後でそっと風にたなびくようにアコギが爪弾かれるシーンや、フルートが安らかに舞う終幕部にはたまらなく美しいものがある。ただ、全体的には昔のB級SF映画のBGMでも聞くような安っぽさがあるか。「Flight」は疾走感あるインスト。ヴォカリーズとともにメロトロンが湧き上がったり、フルートが踊ったり、短いけど濃密。「Windows」は憂鬱なボーカル、フルート、アコギ中心のバラード。歌詞は英語。地味な印象の曲だが、ギターソロは実に華やか。「Fool’s Failure」は古ぼけた哀愁の色を浮かべつつホラーに押し寄せるメロトロンが実に良い。歌詞は英語だが、歌い方はフランス臭い。狂おしいモノローグ、邪悪なギターソロがうねり出し、青ざめた幽霊のようなヴォカリーズが高まる中盤の展開はゾクゾクきます。本作ではこの曲が一番好き。