愛する人が死んだら、生き返ってほしいと思うのは人間として当たり前。
でも、本当に生き返ったら、どうする。
しかも感情を持たないゾンビとして。
原因不明のままに次々と死んでいく15歳から17歳までの少女たち。
彼女らの死体は死後、ゾンビとして生き返り、生きた人間に襲い掛かる。
ゾンビに襲われた人間は死んでしまう。
ゾンビとなった少女を「再殺」するには、彼女らの体を少なくとも165以上の肉片に破壊しなければいけない。
一見ありがちなホラー小説のようだが、この本の不気味なところは、謎の怪奇現象の中にあっても誰も死の恐怖を感じていないということだ。
死を目前にした少女らからは恐怖が取り除かれ、ゾンビ化した肉体は「政府」によって正当に処理される。
つまりこの本の醍醐味はグロテスクな情景描写ではなく、少女の周囲の人たちの生々しい心理描写なのだ。
彼はどんな思いで愛した人の肉体をバラバラにしたのだろう。
拘束し打ち抜き蹴り飛ばしていた少女のゾンビが感情を持っていることを発見したときの恐怖。
考えるだけでも恐ろしい。
考えたくない。
あまりにもリアリティがありすぎるのだ。
ただし、救いはある。
最悪の悲劇がどのようにしてハッピーエンドに転ずるのかは読んでからのお楽しみ。
「愛する人が死んだときは 自殺しなけりゃなりません」
中原中也の引用が美しい。