本書はモデリングからボーン、ポージング、アニメーション、ジオラマ制作にいたるまでとかなり
欲張った内容を220頁ほどで解説してくれています。
まず最初に触れておきたいのは、メタセコイアをはじめ各ツールの使い方の説明がばっさりと<省
略>されています。よってメタセコイアの参考書ではありません。これ自体は問題ないと考えます
が、公式の紹介記事ではその辺は明示しておいて欲しいところです。メタセコイアを利用しているだ
けですので、3D制作にかかわる内容を網羅した一般解説書もしくはメタセコイア等の副読本と捉えた
方が良いと思います。内容は初級レベルからやや少し上といった感じです。
ボーン入れ以降はLightWave3Dを利用しますので、自分の制作環境を考慮する必要があります。この
あたりはLightWave3Dを持っていないとやや厳しい内容かもしれません。ペイントツールはPhotoShop
です。ペンツールで描画するのが主な使い方です。ですので他のペイントツールでも代用可能かもし
れませんが、PhotoShopの機能の用語が分からないと少し混乱するかもしれません。
まず良いとおもった部分から:
モデリング本ではテクスチャーを「描く」部分にまで触れていないものが殆どです。一方でローポ
リモデルはテクスチャーの仕上がり具合で作品の良し悪しがかなり変わります。もともとテクスチャ
ー本ではないので詳細な解説とは行きませんが、どこをどうやって強調すればローポリモデルのテク
スチャー足りえるかといったような描き方まできちんと触れているのは非常に好感を持てました。ま
た背景用の景観グラフィックの描き方の解説まで結構頁を割いています。
表紙を見れば一目瞭然ですが、みんな大好き!成人女性の人物モデリングがあります。5000ポリゴ
ンほど使用しています。割とローポリというには細かい感じです。この他にやや作りやすそうな小動
物とプロダクト製品的なものとしてバイクのモデリングが紹介されています。
ボーンを入れてポーズをとるあたりは多くの解説書で紹介されていますが、歩行アニメーションに
も軽く触れられています。これも少し珍しいですね。
ジオラマ(景観)のモデリングも本書唯一というわけでもないですが、目新しい部類じゃないでし
ょうか。
残念だと思った部分:
参考画像がとても見辛いです。本書の初期段階のモデリングではあらかじめディテールとして立体
的なラインを描き(メタセコイアの「辺」を使った描画ですね)、そこにポリゴンを貼っていく傘張
りのようなモデリング方法を採用しています。ですが、その"ライン"が黒色でメタセコイアの背景色
に沈んでしまってとても把握しにくくなってしまっています。校正段階でどうにかならなかったんで
しょうかこれは。やや目を凝らして見ないと画像を読み取れません。
他人のことはとやかく言えませんが解説に言葉足らずといった印象を受けます。詳しくは画像を見
てくれという感じなのですが、その肝心の画像がちょっと分かりにくいんですね。頂点をくっつけま
す、とあるのですがどの頂点へ?といった一貫してニュアンスのやや不足した文章が気になります。
もう少し何をどうやってといった部分を加えた形の文章にするか、画像に矢印や目印があるだけでか
なり理解しやすくなったような気がします。途中ジンバルロックといった言葉が出てきますが、ジン
バルロックが何かに触れられていなかったりします。
モデリングですが、3つのモデルとも同じような制作方法・制作ペースなのが冗長に感じてしまい
少し紙面がもったいないような気がしました。それならば段階的にハードルを上げていって、ローカ
ル座標軸なども使って見せて欲しかったと個人的には感じました。この辺も少し学習書として見るな
らばですが弱い印象です。
広くそしてそれほど軽くもない内容をぎゅっと詰め込んでるので、ひとつひとつのステップが駆け足
ぎみで本書だけを頼りにきっちり同じものを制作するのは短期間では難しいと感じます。一方で学習
進度がモデリング止まりでその先のステップを模索しているような人には役立つと思います。ただ、
少し書籍としての内容・レイアウト的な完成度が低い印象も否めないです。いまある文章に少し手を
加えるだけで髄分と分かりやすいものになったのではないでしょうか。