この才能に比してあまりに知られていない……と言わざるをえないイラストエッセイの名手松本英子の、「散歩の達人」誌連載をまとめた単行本。
とにかく、絵が抜群にうまい。特に下町風情あふれる路地の雑然さ、湿気を含んだ日常感、そういった空気。そして物体を緻密にリアルに愛らしく、人々の表情を的確に描写している。
それから絵に添えられた文章の個性も際立っている。なかなか思いつかない、くすりと笑ってしまう表現・比喩が満載。
著者として出てくる「松」のシンプルな顔とは対照的な、作り込まれた作品群を堪能して欲しい。