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5つ星のうち 5.0
スティーヴ・ジョブズの『人生』はスティーヴ・ジョブズの『作品』だ,
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レビュー対象商品: スティーブ・ジョブズ I・IIセット (単行本)
2011年10月25日全世界同時発売。著者のウォルター・アイザックソン氏は、元米タイムズ誌の編集長で、アインシュタインやキッシンジャーの伝記を著している人物である。2004年の初夏にジョブズが氏に自分の伝記を書いてくれるように依頼してくるところから話は始まる。こういう人の『選択』もジョブズらしいと思う。ここでまず、簡単にジョブズを語るノンフィクションについてまとめてみたい。以下のようになる。 『スティーブ・ジョブズ/パーソナル・コンピュータを創った男』(ジェフリー・S. ヤング)→オリジナルは1988年リリース。邦訳は1989年9月25日リリース。1985年9月にアップルを退社し、NeXTを立ち上げるまでを綴った評伝である。表紙にはNeXTのマシンと共に若き日のジョブズの自信に満ちた勇姿を見ることができる。 『スティーブ・ジョブズ-偶像復活 』(ジェフリー・S. ヤング、ウイリアム・L・サイモン)→オリジナルは、2005年リリース。邦訳は2005年11月18日リリース。第5章231ページまでは、『スティーブ・ジョブズ/パーソナル・コンピュータを創った男』上下2巻をコンパクトにまとめた感じ。第6章からはPixar創業から2005年まで。2005年というのはアップルの快進撃では、『チューインガム』サイズのiPodシャッフルのリリースまで。(ジョブズ非公認) 本作『I』(ウォルター・アイザックソン)→時間的にはほぼ『スティーブ・ジョブズ-偶像復活 』(ジェフリー・S. ヤング、ウイリアム・L・サイモン)と同じ。(ジョブズ公認) つまり、本作はジョブズが自身の言葉で語る言わば『一人称』の世界からのアップルと言えるだろう。『スティーブ・ジョブズ-偶像復活 』(ジェフリー・S. ヤング、ウイリアム・L・サイモン)の記者の眼から見たアップルと大きな差は感じられなかった。むしろ、未だ誰にも書かれていない2006年から今までのアップルを語った『II』の部分にこそ、この著作の価値はあると思った。 その『II』について、他のレビューアには今まで誰も正確には書いたことがないこの『時代』について『知っていることばかり』と書かれている方もいるようだが・・・本当にそうだろうか。既に数十年ずっとアップルを追い続けてきたオールド・マック・フリークのぼくも知らないことばかりだった。以下にちょっと列記してみよう。 ・1994年にマックワールド誌のコラムニスト、ガイ・カワサキが、『アップルがネクストを買収しジョブズをCEOにする』というパロディのプレスリリースを書いた、がこれが現実になった。(27ページ) ・1997年1月のマックワールドではピーター・ガブリエルが新しい音楽プログラムのデモをやった。(41ページ) ・『神は我々に10本のスタイラスペンを与えたもうた』と指を動かし、ニュートンの開発をやめようとジョブズが主張した。(43ページ) ・『Think Different』を考え提案したのは『1984年』CMを創ったシャイアット・デイ社のリー・クロウである。(72ページ) ・『Think Different』でナレーションされている言葉の一部『彼らは人間を前進させた』はジョブズ自身が考えた。(75ページ) ・『我々が必要とするのはこれだけだ』と言いながら大きく『田』の字を書き、升目の上に『消費者』『プロ』。左側に『デスクトップ』『ポータブル』と書き込んだ。(88ページ) ・『iMac』の名前を考えたのはケン・シーガルである。(106ページ) ・『アップルストア』について多大なヒントを与えた取締役はGAPのミラード・ミッキー・ドレクスターである。彼はプロトタイプの店舗をつくり、納得がいくまでそこで過ごしてみろ、とジョブズに助言した。(137ページ) ・アップルと同じことがじつは可能だった会社がたったひとつあって、それがソニーだったことも分かってくる。ソニーの出井伸之とその時の北米ソニーのトップハワード・ストリンガーの判断の間違いが今のソニーの凋落の原因。(172ページ) ・『アップルには、損益計算書を持つ『部門』はありません。会社全体で損益を考えるのです。』とティム・クックは語っている。(192ページ)→日本の家電メーカーは違うだろうな、きっと ・ジョブズのiPodの中身。2004年に入れてあったものも2011年3月のiPad2の中身も大きな差はない。ボブ・ディランの海賊盤を集めた作品集が6つ。ディランのアルバムがそれ以外に15枚。ビートルズが7枚。(ソロはなし)ストーンズが6枚。昔つきあっていたことのあるジョーン・バエズは4枚。クラシックはバッハの『ブランデンブルグ協奏曲』他と、ヨーヨー・マのアルバムが3枚。ジャズはなし。2011年3月のiPad2にはグレン・グールドの2種類の『ゴールドベルク変奏曲』が追加されている。(202ページ) などなど もう何十年もマック・フリークだというのに知らないことばかり。ホントに驚きの連続だ。そして最後の2章は涙なしには読めない。 最も感じたのは、スティーヴ・ジョブズの『人生』はスティーヴ・ジョブズの『作品』だ、ということだ。成功も失敗も数限りない。しかしながらジョブズの最高傑作は彼の『人生』そのものだ。それを知ることができるこの『II』は得難い一冊だと思う。今、家電で大幅赤字を出しているソニーやパナソニックの若手は、破綻寸前だったアップルが、世界最大の会社にいかにして成りえたか、を知るために手に取るべき本だと思う。 そして最後に一言。日本の出版社の電子書籍も含めたこの価格設定というのはいかがなものかと思う。Mac OSX Lionより高いこの値段でジョブズの遺志を顕しているといえるのか? よーく考えるべきだろう。
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