タイトルの通り、Jobsにまつわる数々の伝説的エピソードを、交渉術という観点でまとめた著書です。
Apple社の歴史をより良く理解する上での伝記として、知的要求は満たしてくれました。
残念なのは、物語を「交渉の術」という表面的な観点でしかまとめていないことです。
いくつかの交渉エピソードがうまく運んだ理由は「売り込むネタが良いから」につきます。
だからこそ「強気な交渉」に写った訳ですが、
その強気の素となったネタ(=製品)のすばらしさを語ってくれなければJobs氏Fanとしては物足りなく、
むしろ不誠実な印象さえ感じてしまいます。
カリスマと言われるような振る舞いには信念や規範が見え隠れするものです。
その信念や規範に基づく行動と結果に、美しさや優しさ、あるいは猛々しさ、誠実さなどを感じることで
人は感動し、可能性を感じるのではないでしょうか?
Jobs氏の「より良い世界をつくる」という信念を語ってくれる、ゴシップ的ではない著書を望みます。